PCB
PCB廃棄物を保管する事業者は、毎年保管や処分の状況についての届出を行うことのほか、政令で定める期間内の処分が義務づけられています。この期間は、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特別措置法)の施行時には平成28年7月までとされていましたが、法律の施行後に微量のPCBに汚染された電気機器が大量に存在することが判明したことや、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)における処理が想定よりも遅れていることなどを踏まえ、平成24年12月に政令が改正され、処理期間は平成39年3月末日までに延長されました。平成26年6月にはポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画が変更され、高濃度PCB廃棄物については最長でも平成37年度までに処理を完了することになっています。
1.PCB特別措置法に基づく届出
PCB廃棄物を保管する(PCB使用製品を所有する)事業者及びPCB廃棄物を処分した事業者は、前年度のPCB廃棄物の保管及び処分の状況(廃棄の見込み)について、毎年4月1日から6月30日までの間に都道府県知事(またはPCB特別措置法で定める政令市の市長)に届け出なければなりません。
届出については、各都道府県及び政令で定める市の該当部署へ
お問い合わせください。
届出を行わなかった場合や、虚偽の届出をした場合には6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
高濃度PCB使用製品のうち、電気事業法の電気工作物に該当するもの(高濃度PCB含有電気工作物)にはPCB特別措置法が適用されません。このため、電気事業法において、次の3つの措置を講じています。
(1)高濃度PCB含有電気工作物の所定の期限後の使用禁止
(2)高濃度PCB含有電気工作物の判明時の届出、管理状況(廃止予定年月)の届出等
(3)高濃度PCB含有電気工作物の電気主任技術者による有無の確認
届出については、事業所所在地ごとの経産省産業保安監督部に
お問い合わせください。
経済産業省ウェブサイト 産業保安規制の業務内容 > 電力の安全 > PCB含有電気工作物
(1)設置場所
万一のPCB油の流出を防止するため、(2)に示すような対策を講じ、かつ関係者以外の人が容易に立ち入ることができない場所に設置する。
(2)保管
廃棄物処理法第12条の2第2項及びこの規定に基づく施行規則第8条の13(特別管理産業廃棄物保管基準)に基づき、保管・管理してください。
- 周囲に囲いが設けられていること。
- 廃棄物の種類などを表示した掲示板が設けられていること。
- 飛散、流出、地下浸透、悪臭が発生しないような処置を講ずること。
- ネズミが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること
- 他の物が進入するおそれのないよう仕切を設けること等の必要な処置を講ずること。
- PCB廃棄物については、容器に入れ密閉すること等揮発の防止のために必要な処置及び高温にさらされないために必要な処置を講ずること。
- PCB汚染物又はPCB処理物については、腐食防止のために必要な処置を講ずること。
(左)プラスティック容器に保管中の蛍光灯安定器
※普段は蓋をしている。しかしドラム缶等の密閉容器にすべき |
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(右)ステンレス容器の場合もある(こちらがよりベター) |
(3)保管場所及び廃PCB油等の表示について
使用中のPCB使用電気機器並びにPCB廃棄物、PCB保管施設には、見えやすい場所に下記に示す表示をしなければなりません。「PCB」は、赤字で表示するか、地が赤色である必要があります。
例:
(a)使用中:PCB使用電気機器表示ラベル
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(b)保管:PCB汚染物保管場所掲示板
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(一社)日本電気協会ホームページより引用。上記ラベルは、当協会より販売されています。注文は、
こちら(日本電気協会)まで
(4)罰則について
PCB廃棄物を捨てた者は、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又は併科の罰則の対象になります。特に、法人による産業廃棄物の不法投棄にあっては、1億円以下の加重罰が課せられることになります。
事業者は、平成39年3月31日までに、PCB廃棄物を自ら処理するか、処理業者に委託しなければなりません(PCB特別措置法第10条)。処理業者については、廃棄物処理法に基づく委託基準を遵守する必要があります。
なお、環境大臣又は都道府県知事は、事業者が期間内に処分及び処分の委託を行わない場合には、その事業者に対し、改善命令により処分等の措置を命ずることができます。
この改善命令に違反すると、3年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、またこれを併科されます。
(1)適正処理または環境省令で定める場合以外は、何人に対してもPCB廃棄物を譲り渡し、または譲り受けてはならないとされています(PCB特別措置法第11条)
(2)譲渡または譲り受け可能な場合(PCB特別措置法・施行規則第7条)
・地方公共団体に譲り渡す場合
・地方公共団体が譲り受ける場合
・PCB廃棄物の処理技術の試験研究または処理施設における試運転を目的とする場合であって、
−都道府県知事が認めた場合
−中間貯蔵・環境安全事業株式会社に譲り渡す場合
−中間貯蔵・環境安全事業株式会社が譲り受ける場合
・保管事業者が確実かつ適正にPCB廃棄物を保管することができなくなったと都道府県知事が認めた場合であって、
−PCB廃棄物を確実かつ適正に処理する十分な意思と能力を有する者として都道府県知事が認める者に譲り渡す場合
−PCB廃棄物を確実かつ適正に処理する十分な意思と能力を有する者として都道府県知事が認める者が譲り受ける場合
(3)罰則規定
違反した場合は、3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれを併科する罰則が科せられます(PCB特別措置法第24条)
(1)保管事業者について、相続・合併又は分割があった場合は、その事業者の地位の全部を継承した相続人や法人が、PCBを管理する必要があります(PCB特別措置法第12条第1項)。
(2)継承があった日から30日以内に、その旨を都道府県に届ける必要があります(PCB特別措置法第12条第2項)。
届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は30万円以下の罰金に処せられます。
環境大臣又は都道府県知事は、事業者等に対し、PCB廃棄物の保管又は処分に対し、必要な報告を求めることができます(PCB特別措置法第17条)。
環境大臣又は都道府県知事は、立ち入り検査を行うことができます(PCB特別措置法第18条第1項)。
使用済みのPCB使用製品等を保管している事業者は、「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置しなくてはなりません。(廃棄物処理法第12条の2第6項) 。
特別管理産業廃棄物管理責任者には、特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会の受講を修了した人がなることができます。
→
(公財)日本産業廃棄物処理振興センター 特管責任者講習会
→
各都道府県の産業廃棄物協会
この義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。
参考