PCBワーキンググループ


基礎情報 | 構造・物性

PCBに関する基礎情報

環境省/廃棄物・リサイクル対策部
  ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理に向けて(パンフレット)

豊田市環境部環境保全課
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PCBの構造・物性

1.構造

(1)ポリ塩化ビフェニル
 PCB(ポリ塩化ビフェニル、図1-1)は、ベンゼン環(亀の甲)が2つつながったビフェニル骨格の水素(H)が塩素(Cl)で置換されたものの総称です。置換塩素の数と位置によって計算上209種の異性体が存在し、実際の市販品も100を越えるPCBが確認されています(市販のPCBは、PCB単体の混合物)。
 1881年にドイツのシュミットとシュルツによって初めて合成され、1921年にスワン社(アメリカ合衆国、後にモンサントに吸収)によって工業化されました。日本では鐘淵化学工業(1954年[昭和29年>)が「カネクロール(KC-****)」の商品名で、三菱モンサント(1969年<昭和44年>、現三菱化学)が「アロクロール(Ar-****)」の商品名で、生産を開始しました。ちなみに商品の規格として、鐘淵化学は、KC-500("KC"=カネクロール、"500"=5塩素置換体)を、三菱モンサントは、Ar.1254("Ar"=Arocrol(アロクロール)、"12"=PCB、"54"=塩素54%。KC-500<相当品>)を表しています。

図1-1 PCB

(2)コプラナーPCB
 コプラナーPCBは、基本骨格であるビフェニルの3、4、3'、4'位の水素が塩素に置換した化合物を基本とし、さらに5あるいは5'位が塩素に置換されたPCBの異性体のことを言います(メタ位とパラ位に塩素があるPCB。オルト位に塩素がないPCB)。2、2'、6、6'の位置(オルト位)に塩素があると分子同士がぶつからない様に2つのベンゼン環がねじれた構造を取ります。5,5'(オルト位)に塩素がない場合は、分子同士がぶつからないため、2つのベンゼン環は平面構造を保ちます。この平面構造を取るPCBは、構造的にダイオキシンやフランに類似しており、その他のPCBよりも強い毒性を示します。そのため、コプラナーPCBはダイオキシンやフランと共に「ダイオキシン類」に分類されています。

表1-1 コプラナーPCBの毒性等換算係数(WHO-TEF)
WHO-TEF(1998) IUPAC No.
3,4,4',5-T4CB 0.0001 #81
3,3',4,4'-T4CB 0.0001 #77
3,3',4,4'5-P5CB 0.1 #126
3,3',4,4'5,5'-H6CB 0.01 #169
2,3,3'4,4'-P5CB 0.0001 #105
2,3,4,4',5-P5CB 0.0005 #114
2,3',4,4',5-P5CB 0.0001 #118
2',3,4,4',5-P5CB 0.0001 #123
2,3,3'4,4'5-H6CB 0.0005 #156
2,3,3',4,4',5'-H6CB 0.0005 #157
2,3',4,4',5,5'-H6CB 0.00001 #167
2,3,3',4,4',5,5'-H7CB 0.0001 #189

2.物性


○化学物質としてのPCB
 (データベース:「PCB」「ポリ塩化ビフェニル」、「カネクロール」、「アロクロール」などで検索してください)
 ・国際化学物質安全性カード(ICSC)-日本語版国立医薬品食品衛生研究所
 ・化学物質安全情報提供システム(kis-net)(神奈川県環境科学センター
 ・化学物質データベース国立環境研究所・化学物質環境リスクセンター)
 ・毒性・物性・用途情報の種類と意味エコケミストリー研究会
基本物性等(*1 分子式、分子量、オクタノール水分配係数、外観、臭い、密度/比重、融点、沸点、水溶解度、有機溶媒溶解度、蒸気圧、ヘンリー定数、主用途、その他の性質、水中分解性、生物濃縮、生分解性、光分解性、適用法令、分析法、生産量、土壌吸着、環境中での検出状況、各種基準値分子式、分子量、オクタノール水分配係数、外観、臭い、密度/比重、融点、沸点、水溶解度、有機溶媒溶解度、蒸気圧、ヘンリー定数、主用途、その他の性質、水中分解性、生物濃縮、生分解性、光分解性、適用法令、分析法、生産量、土壌吸着、環境中での検出状況、各種基準値など)がその値と出典付で検索できます。

表1-2.PCBの特徴
1,不燃性で、しかも加熱・冷却しても性質が変わらない
2,絶縁性、電気的特性に優れている
3,化学的に安定で、酸・アルカリに侵されない
4,水に溶けないが有機溶媒によく溶ける
5,粘着性に優れている
(出典:「化学物質と人間-PCBの過去,現在,未来」,磯野直秀,中央公論社,1975)

表1-3.PCB(カネクロール)の物理化学的性状
種類 主成分(それぞれ異性体の混合物) 塩素含有量
(%W/W)
比重(100℃) 粘度
(cS、75℃)
蒸留範囲
(℃、760mmHg)
蒸気圧
(35℃,mmHg)
溶解度(水)
(室温、ppm)
対応するAroclorの種類
KC-200 二塩化ビフェニル 32 1.223〜1.243 2〜3 270〜360     Aroclor.1232
KC-300 三塩化ビフェニル 42 1.310〜1.322 3.5〜4.4 325〜360 0.001 0.147 Aroclor.1242
KC-400 四塩化ビフェニル 48 1.376〜1.389 5.4〜7.3 340〜375 0.00037 0.042 Aroclor.1248
KC-500 五塩化ビフェニル 54 1.460〜1.475 12〜19 365〜390 0.00006 0.008 Aroclor.1254
KC-600 六塩化ビフェニル 60 1.539〜1.555 46〜87 385〜420   0.002 Aroclor.1260
KC-1000 KC-500+三塩化ベンゼン   1.452〜1.463 2.2〜2.9 210〜390     Aroclor.T-100
KC-1300 KC-300+二塩化ベンゼン+四塩化ベンゼン   1.330〜1.370a) 0.7〜1.3 -      
a)15℃
(出典:「PCB」,日本科学会編,丸善,1980)


 
表1-4.カネクロールの成分と対応するアロクロール
種類 主成分、混合物 対応するAroclor
KC-200 二塩化ビフェニル Aroclor.1232
KC-300 三塩化ビフェニル Aroclor.1242
KC-400 四塩化ビフェニル Aroclor.1248
KC-500 五塩化ビフェニル Aroclor.1254
KC-600 六塩化ビフェニル Aroclor.1260
KC-1000 KC-500+三塩化ベンゼン Aroclor.T-100
KC-1300 KC-300+二塩化ベンゼン+四塩化ベンゼン  


図1-2 PCB製品の異性体分布(カネクロール)
KC-300KC-300
蛍光灯の安定器用、洗濯機や電子レンジなどの家電用といったペーパーコンデンサや熱媒体、潤滑油、感圧複写紙(ノーカーボン紙)などに使用されていました。
KC-400KC-400
蛍光灯の安定器用、洗濯機や電子レンジなどの家電用といったペーパーコンデンサや熱媒体、潤滑油などに使用されていました。
KC-500KC-500
蛍光灯の安定器用、洗濯機や電子レンジなどの家電用といったペーパーコンデンサ、プラスチックに配合する絶縁用や難燃用の可塑剤、塗料・印刷インキ用の添加剤などに使用されていました。
KC-1000
高圧トランス用の絶縁油として使用されてきました。表1-4の通り、KC-1000は、KC-500と3塩化ベンゼンが6:4の割合で含まれています。
KC-600KC-600
塗料・印刷インキ用の添加剤などに使用されていました。
(出典:高菅卓三ら,各種クリーンアップ法とHRGC/HRMSを用いたポリ塩化ビフェニル(PCBs)の全異性体詳細分析方法,環境化学,Vo;.5,No.3,pp.647-675,1995)