POPs基礎


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POPsの基礎知識

 POPs(ポップスと発音)とは、Persistent Organic Pollutantsの略で、日本語では、「残留性有機汚染物質」と訳されます。難分解性、生物蓄積性、長距離移動性などをもつ有害性の高い有機汚染物質のことで、PCBやダイオキシン類の他、DDTやアルドリン等の塩素系農薬などがあげられています。

 我が国では、条約で当初指定されているPOPs製品は製造禁止になっていますが、PCB廃棄物やPOPs該当廃農薬などの対策、ダイオキシン類などのように意図しないでできてしまう物質の対策、過去に排出されて環境中や生態系に残留するPOPsの対策、及び今後追加されるPOPsについての対策などを適切に行う必要があります。

 一方、海外では、現在も条約指定のPOPsを製造・使用している国や対策が不十分な国、あるいは日本をはじめとする先進国から輸入したPOPsの処理に困っている国などがあります。

 POPsによる地球環境汚染は、先進国や一国のみの対策では防止できないことから、国際的に協調してPOPsの廃絶、削減等を行うため、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」という国際条約が発効されました。この条約の発効によって、批准国には、POPsの適正な管理及び処理・モニタリング・情報提供・教育、並びに発展途上国に対する技術援助などを行うことが求められます。

POPs(Persistent Organic Pollutants) の定義


環境中で分解しにくい(難分解性

 
化学的安定性を求めて作り出されたため、環境中に放出されても分解されにくく、長く環境中に残留します。

食物連鎖などで生物の体内に蓄積しやすい(高蓄積性

 
脂肪に溶けやすいため、生物の脂肪組織に濃縮されやすい性質を持っています。そのため、女性が影響を受けやすく、母乳を介した次世代への影響が懸念されています。

長距離を移動して、極地などに蓄積しやすい(長距離移動性

 
POPsの多くは半揮発性有機塩素化合物です。そのため、空気中に蒸発し拡散すます。その後、大気循環で極地方に移動し、冷たい空気によって冷やされて凝縮、地上に降下します。化学物質がバッタが飛び跳ねるように長距離を移動することから「バッタ効果」(Grasshopper Effect)と呼ばれています。例えば、赤道地方で環境中に放出された汚染物質は、バッタ効果により中緯度(日本も)や極地方に拡散していきます。
 また、農産物や魚介類などの輸出入によっても各国に拡散する危険性があります。


人の健康や生態系に対して有害性がある(有害性

 
発ガン性や神経障害、免疫毒性、ホルモン異常など。特に「環境ホルモン」として疑われている物質が多くあります。

環境省のパンフレットに分かりやすく解説されています。

POPsの種類

農薬・殺虫剤(意図的製造POPs)
アルドリン Aldrin
ディルドリン Dieldrin
エンドリン Endrin
DDT DDT
ヘプタクロル Heptachlor
クロルデン Chlordane
HCB(ヘキサクロロベンゼン) HCB
マイレックス Mirex(*)
トキサフェン Toxaphene(*)
工業化学物質(意図的製造POPs)
PCB(ポリ塩化ビフェニル) PCB
非意図的生成POPs
ダイオキシン Dioxins
フラン Furans

*日本では農薬登録されていません。


化学物質名 構造 用途等
アルドリン
Aldrin
農薬・殺虫剤。1954年に農薬登録、1971年に農薬として使用禁止(失効は1975年)。1981年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。1958年から1972年までに原体換算で3,313トンが輸入されている。無臭の白色結晶。意識喪失や全身痙攣などが起こる。
ディルドリン
Dieldrin
農薬・殺虫剤。1954年に農薬登録、1971年に農薬として使用禁止(失効は1973年)。1981年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。1958年から1972年までに原体換算で683トン輸入された。また、シロアリ駆除剤として1980年までに358トンが輸入された。無色の結晶。急性中毒で頭痛、めまい、脱力感、嘔吐、意識消失、強直性及び間代性痙攣発作等が起こる。
エンドリン
Endrin
農薬・殺虫剤。1954年に農薬登録、1971年に農薬として使用中止(失効は1976年)。1981年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。1958年から1972年までに原体換算で1,360トンが輸入されている。白色結晶。中枢神経毒で食欲不振、嘔吐、強直性及び間代性痙攣発作等が起こる。
DDT
DDT
農薬・殺虫剤。第二次大戦終戦後に防疫やシラミの駆除剤として使用され、後に農薬としても使用。1971年5月に農薬登録が失効したが、その後も木材のシロアリ防除剤として使用れていた。1981年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。1947年から1971年までの農薬として、156,265トンが生産された。無色針状結晶。頭痛、めまい、食欲不振、吐き気、下痢、全身倦怠感がある。大量摂取すると振せん、四肢麻痺、意識消失などがある。
ヘプタクロル
Heptachlor
農薬・殺虫剤。1957年に農薬登録、1972年に失効したが、その後もシロアリ駆除剤として使用されていた。1986年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。1957年から1972年までに原体換算で約1,500トンが輸入されている。クロルデン中に不純物として含まれている。
クロルデン
Chlordane
殺虫剤。1950年に農薬登録、1968年に失効したが、その後もシロアリ駆除剤として使用されていた。1986年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。黄色粘ちょうな液体。皮膚吸収があり、肝臓障害を引き起こす。
HCB(ヘキサクロロベンゼン)
HCB
殺虫剤や化学合成原料。1972年以降生産されていない。1979年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。発ガン性、催腫瘍性、催奇形性の疑いがある。
マイレックス
Mirex(*)
殺虫剤。日本では農薬登録されていない。
トキサフェン
Toxaphene(*)
殺虫剤。日本では農薬登録されていない。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)
PCB
絶縁油、熱媒体、溶媒など。日本では1954年より販売、1972年に行政指導により製造が中止、1974年に化審法第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入・使用が禁止された。日本では、1954年から1972年まで約5万9000トンが製造。淡黄色粘性油〜黄色柔軟性樹脂〜黒色樹脂(塩素数の違いによる)。色素沈着、皮膚障害、内臓障害、神経障害、免疫毒性、ホルモン異常、発ガン性など。保管中のPCBや使用中のPCB(密閉系であれば継続使用が認められている)の処理が問題となっている。PCB処理について、先進国の中で日本がもっとも遅れているが、ようやく2000年以降に本格化する。
ダイオキシン
Dioxins
化学合成や焼却の際に非意図的に発生する化学物質。正式にはポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(polychlorodibenzo-p-dioxins:PCDDs)とポリ塩化ジベンゾフラン(polychlorodizenzofuran)。これにコプラナーPCB(coplanerPCB)を含めてダイオキシン類と呼ぶ。日本は、世界でもまれなダイオキシン汚染国である。
フラン
Furans

 

汚染の実態

POPsに関するストックホルム条約

 POPsによる地球環境汚染は、先進国や一国のみの対策では防止できないことから、国際的に協調してPOPsの廃絶、削減等を行うため、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)という国際条約が発効されました。この条約の発効によって、批准国には、POPsの適正な管理及び処理・モニタリング・情報提供・教育、並びに発展途上国に対する技術援助などを行うことが求められます。
 2004年2月17日に、POPs条約の批准国数が条約発効(効力発生)要件の50ヶ国に達したことから、条約の規定に従い、90日後の2004年5月17日に条約が発効しました。

現在の締約国、批准状況はこちら(ストックホルム条約事務局のページへリンク)

POPs条約の概要

1.目 的

 リオ宣言第15原則に掲げられた予防的アプローチに留意し、残留性有機汚染物質から、人の健康の保護及び環境の保全を図る。

2.各国が講ずべき対策

(1)製造、使用の原則禁止(アルドリン、エンドスルファン類、エンドリン、クロルデコン、クロルデン、ディルドリン、ヘキサクロロシクロヘキサン類、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、ヘプタクロル、ペンタクロロベンゼン、ポリブロモジフェニルエーテル類、マイレックス、トキサフェン、PCB)及び原則制限(DDT、PFOS及びその塩・PFOSF)
なお、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)は2014年11月発効予定

(2)非意図的生成物質の排出の削減(ダイオキシン、ジベンゾフラン、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、PCB)

(3)POPsを含むストックパイル・廃棄物の適正管理及び処理

(4)これらの対策に関する国内実施計画の策定

(5)その他の措置
  ・新規POPsの製造・使用を予防するための措置
  ・POPsに関する調査研究、モニタリング、情報公開、教育等
  ・途上国に対する技術・資金援助の実施

3.条約の発効及び締結状況

2004年5月17日に50ケ国の締結により条約が発効。
2014年1月現在、152ヶ国及び欧州連合(EU)が署名、我が国を含む179ヶ国及びEUが締結。

 

POPs条約に基づく会議・委員会等

POPs条約締約国会議 (COP)
  第7回締約国会議(2015年5月6日〜8日、14日〜15日の結果報告)
  第6回締約国会議(2013年4月30日〜5月2日の結果報告)
  第5回締約国会議(2011年4月25〜29日)の結果報告
  第4回締約国会議(2009年5月4〜8日)の結果報告
  第3回締約国会議(2007年4月30〜5月4日)の結果報告
  第2回締約国会議(2006年5月1〜5日)の結果報告
  第1回締約国会議(2005年5月2〜6日)の結果報告
  (環境省報道発表資料のページにリンクしています)

POPs検討委員会 (POPRC)
 POPs条約第8条に基づき、条約対象物質への追加について検討するために設置された。各国の31名の専門家より構成される。検討委員会においては、新たに各国から提案された物質について、(1)スクリーニング、(2)危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、(3)リスク管理に関する評価の検討プロセスを経て、締約国会議(COP)への勧告を行う。
 COPにおいてPOPs条約対象物質に追加されることが決定した場合、各加盟国は、対象物質について国内法令で製造・使用等を規制することになる。

  第12回検討委員会(2016年9月19〜23日)の結果報告
  第11回検討委員会(2015年10月19〜23日)の結果報告
  第10回検討委員会(2014年10月27〜30日)の結果報告
  第9回検討委員会(2013年10月14〜18日)の結果報告
  第8回検討委員会(2012年10月15〜19日)の結果報告
  第7回検討委員会(2011年10月10〜14日)の結果報告
  第6回検討委員会(2010年10月11〜15日)の結果報告
  第5回検討委員会(2009年10月12〜16日)の結果報告
  第4回検討委員会(2008年10月13〜17日)の結果報告
  第3回検討委員会(2007年11月19〜23日)の結果報告
  第2回検討委員会(2006年11月6〜10日)の結果報告
  第1回検討委員会(2005年11月7〜11日)の結果報告
  (環境省報道発表資料のページにリンクしています)

POPs対策検討会
 我が国でPOPs条約に対応した諸対策を進めるべく、環境省環境保健部長の私的諮問機関として設置され、2002年(平成14年)から2003年(平成15年)にかけて4回の検討会が開催された。

  第4回POPs対策検討会(2003.10.21) 議事次第・資料議事要旨
  第3回POPs対策検討会(2002.09.25) 議事次第・資料議事要旨
  第2回POPs対策検討会(2002.03.14) 議事次第・資料議事要旨
  第1回POPs対策検討会(2002.02.08) 議事次第・資料議事要旨

 

関連法令

化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)
 ・環境省:化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律[PDF]
 ・環境省:化学物質審査規制法ホームページ

PCB特措法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)
 ・環境省:ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理に関する特別措置法について

農薬取締法
 ・環境省:農薬取締法[PDF]
 ・農林水産省:農薬コーナー

薬事法
 ・環境省:薬事法[PDF]

ダイオキシン類対策特別措置法
 ・環境省:ダイオキシン類対策特別措置法[PDF]
 ・環境省:ダイオキシン類対策

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
 ・環境省:廃棄物処理の現状

土壌汚染対策法
 ・環境省:土壌汚染対策法について(法、政省令、告示、通知)

バーゼル条約(特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)
 ・環境省:特定有害廃棄物等の輸出入関連

問い合わせ先


担当部署 住所 電話番号 FAX番号 メールアドレス
環境省
環境保健部 環境安全課 〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2
03-3581-3351(代) 03-3580-3596  ehs@env.go.jp
廃棄物・リサイクル対策部 産業廃棄物課 〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2
03-3581-3351(代) 03-3593-8264    
農林水産省
消費・安全局 農産安全管理課 〒100-8950
東京都千代田区霞ヶ関1-2-1 
03-3591-6585 03-3580-8592  
経済産業省
製造産業局 化学物質管理課 〒100-8901
東京都千代田区霞が関1-3-1
03-3501-0080 03-3501-6604 qqhbbf@meti.go.jp


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