背景と設立の経緯
現在、農薬、洗剤、溶剤、工業原料など約10万種類の化学物質が製造、販売され、生活の様々な場所で使われています。また、廃棄物の焼却、自動車、その他の活動からも多くの有害物質が生成して環境中に排出されています。
これらの中には、ダイオキシン類やベンゼンなどのようにがんの原因になると考えられているもの、PCBなどのように人や生物の生殖能に悪影響を与えると考えられているもの(環境ホルモン、内分泌攪乱物質)、化学物質過敏症やアトピーなどの原因になると考えられているものなど、人や生態系に対して有害なものが多数あります。また、フロンなどの地球環境に悪影響を与えるものもあります。このため、国際的にも、国内的にも化学物質に対する関心が高まり、皆で正しい知識を持ち、一層しっかりとした管理のもとに化学物質とつきあうことが求められてきています。
このような背景を受けて、1990年に「化学物質と環境との調和」という目標を掲げ、日本化学会の支援を受けて約200人の研究者を中心に本研究会を発足させました。それ以来、ニュースレターの発行、セミナーやシンポジウムの共催等を行ってきましたが、1996年からは、会員を研究者以外にも広げて募り、独立した非営利団体(NPO)として活動しています。2024年4月現在の会員数は、大学教官、国公立研究所等の研究者、行政官、民間企業人、環境NGO関係者、マスコミ関係者、弁護士、政治家、学生等の幅広い個人会員が約140名、各種産業分野の民間企業、社団・財団、地方自治体、生協等の団体会員が61となっています。
目 的
本研究会は、化学物質が製造、副生、輸送、貯蔵、使用、廃棄されるすべての段階で環境と調和するシステムを築くために、所属、立場、専門、地域などの異なる人が、下記の領域についての最新情報を共有し、意見を交換する場を提供することを目的としています。
扱う領域
工業薬品、農薬、日用品をはじめとする各種の製品の中の合成化学物質(医薬品・食品を除く)および燃焼や焼却、水の塩素処理、各種の製造工程、あるいは環境中での反応などで意図せず生成してしまう化学物質の環境との調和に関係する以下の領域を扱うこととします。
- 1)化学物質の有害性に関係する領域(ハザードアセスメント)
- 化学物質の各種の毒性、オゾン層破壊特性、残留性、蓄積性などの有害性の実測データや評価方法および予測方法などに関する領域
- 2)化学物質のリスクの評価に関係する領域(リスクアセスメント)
- 化学物質の環境中での挙動の実測データと予測方法、発生源の調査、分析とモニタリングの方法や実施結果、人および生態系への悪影響の評価方法や実態調査などに関する領域
- 3)化学物質のリスクの理解に関係する領域(リスクコミュニケーション)
- 化学物質の環境安全情報の提供と利用のシステム、有害性の表示方法、リスク削減政策についての意見交換システム、リスクについての意識調査、関係者・市民の意見発表などに関する領域
- 4)化学物質のリスクの管理手法に関係する領域(リスクマネージメント)
- 有害性の低い物質の開発、有害物質を使用しない生産方法、有害化学物質の規制や指導の方法、企業内での管理方法、適正使用の指導・徹底の方法、排出の抑制方法、再利用の方法、排水・排ガス・廃棄物等の処理・処分の方法などに関する領域
活動内容
1)会員情報誌「化学物質と環境」の年6回発行
(賛助会員・一般団体会員に4部、個人会員に1部配布)
2)シンポジウム、セミナー、講習会等の開催
(賛助会員はご所属の方どなたでも半額、一般団体会員はご所属の方どなたでも参加費割引、
個人会員は本人のみ参加費割引)
3)「最新情報懇談会」の特別無料開催(賛助会員ご所属の方のみ)
4)環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)関連情報提供Webサイトの構築と運営
5)PRTR・MSDS対象物質の有害・危険性に関するデータベースの構築とデータ提供
6)残留性有機汚染物質(POPs)に関する情報提供Webサイトの構築と日本POPsネットワークの運営
7)国内外の化学物質管理関連情報のコンピューターネットワーク(リンク)の構築
8)図書、小冊子、調査・研究報告書等の出版・会員割引頒布
運営委員
代 表 | 浦野 紘平 | 横浜国立大学名誉教授 |
幹 事 | 浦野 真弥 | (有)環境資源システム総合研究所 所長 |
編集委員長 | 谷川 昇 | 元北海道大学准教授 |
編集委員 | 阿部 欣文 | 宇都宮文化センター(株) 代表取締役 |
編集委員 | 安間 智之 | いであ(株)国土環境研究所 環境技術部 |
編集委員 | 大塚 希美子 | (株)エックス都市研究所 環境リスク管理チーム |
編集委員 | 角田季美枝 | 和光大学現代人間学部 非常勤講師 |
編集委員 | 中込 浩樹 | 三井化学(株) 化学品安全センター |
編集委員 | 松本 祐典 | 三機工業(株) 環境システム事業部 |
編集委員 | 村澤 香織 | P&Gジャパン(同)研究開発本部 法規・安全性統括部 |
委 員 | 有田 芳子 | 主婦連合会 |
委 員 | 亀屋 隆志 | 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授 |
委 員 | 北野 大 | 秋草学園短期大学 学長 |
委 員 | 久保 隆 | 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科 助教 |
委 員 | 藤江 幸一 | 千葉大学 学術研究・イノベーション推進機構 機構長 |
委 員 | 松原 英隆 | チューケン生活環境研究所 所長 |
委 員 | 森下 哲 | 環境省 参与 |
委 員 | 矢嶋 龍彦 | 埼玉工業大学名誉教授 |