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日本の動き

エコケミストリー研究会の情報誌「化学物質と環境」RADAR に掲載した情報を紹介しています。
下記の情報をご利用になる場合は、各情報元をご確認下さい。

最新号:2017年3月号
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定

2017年 1月号 3月号
2016年 1月号 3月号 5月号 7月号 11月号
2015年 1月号 3月号 5月号 7月号 9月号 11月号
2014年 1月号 3月号 5月号 7月号 9月号 11月号
2013年 1月号 3月号 5月号 7月号 9月号 11月号
2012年 1月号 3月号 5月号 7月号 9月号 11月号
2011年 1月号 3月号 5月号 7月号 9月号 11月号
2006年〜2010年の日本の動き
2000年〜2005年の日本の動き

2017年3月号(No.142)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定
 標記の法律の一部を改正する法律案が3月10日に閣議決定され、第193回国会に提出される予定となっている。
 食品廃棄物の不正転売事案および鉛等の有害物質を含む電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)等の破砕や保管での火災の発生や有害物質の漏出等の問題が生じており、対応の強化が必要となっている。
 標記の法律案は、業の許可を取り消された者等が廃棄物の処理を終了していない場合に、都道府県知事等が必要な措置を講ずることを命ずることができることとし、当該事業者から排出事業者に対する通知を義務付けることとしている。また、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、電子マニフェストの使用を義務付け、虚偽記載等に関する罰則を強化するものとなっている。さらに、雑品スクラップ等の有害な特性を有する使用済みの機器の保管又は処分を業として行う者に対しては、都道府県知事への届出、処理基準の遵守等の義務付け、処理基準違反があった場合等における命令等の措置の追加等を講ずるものとなっている。その他、親子会社が廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に親子会社間で産業廃棄物の処理を行うことができることとする内容も含まれている。
 雑品スクラップを含めて規制が強化されている点は好ましい。電子マニフェスト義務化については、その活用の在り方についても議論がなされる時期にあると考えられる。(文責:浦野 真弥)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定
 3月10日に標記の法律案が閣議決定され、第193回国会に提出される予定となっている。
 この法律はバーゼル条約を担保するための国内法であるが、法制定から約25年が経過し、近年の資源循環の国際取引の増大に伴い発生した課題に対応する必要が生じてきた。この法律案では以下のような改正がなされている。
(1)「特定有害廃棄物等」の範囲の見直しとして、@輸出先国において条約上の有害廃棄物とされている物を、我が国においても特定有害廃棄物等として、輸出承認を要件化し、規制対象物を法的に明確化する。A途上国からのリサイクル等に適した廃電子基板等の輸入について、輸入承認を不要とするよう、規制対象物の範囲を見直す。
(2)特定有害廃棄物等の輸出に係る規制の適正化として、輸出先の環境汚染防止措置について環境大臣が確認する事項を明確化する。
(3)特定有害廃棄物等の輸入に係る認定制度の創設・輸入手続緩和として、輸入事業者及び再生利用等事業者の認定制度を創設し、認定輸入事業者が、認定再生利用等事業者による再生利用等のために特定有害廃棄物等の輸入を行う際の輸入承認を不要とする。
 国際的に資源の獲得競争が起こっている状況に即しており、環境汚染を引き起こす可能性の低い場合の措置であるが、有用物については左記のような事案もあることから、継続的な状況の確認も必要と考えられる。(文責:浦野 真弥)

2017年1月号(No.141)

 「今後の化学物質対策の在り方について(案)」に対する意見募集について
 環境省は1月5日から2月3日まで標記の案に対する意見募集を行っている。
 化審法については、平成23年4月の改正法の全面施行から5年が経過したことから、産構審製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築WG及び中環審環境保健部会化学物質対策小委員会において、緊急性の高い項目について検討がなされ、標記の案がとりまとめられた。
 一つは、少量新規化学物質確認制度及び低生産量新規化学物質確認制度における全国単位の製造・輸入数量の上限見直しについてである。近年、我が国の化学産業が少量多品種に移行していることを受け、同一化学物質について、複数事業者から届出・申出がなされるケースが増加している。このため、毒性審査が不要となる低生産量新規化学物質認定制度が適用できる全国合計の製造・輸入量10トンが制約となり、個社の製造・輸入量が 1トン以下であっても制約を受けることが考えられる。そこで、上限値を製造・輸入予定量から環境排出量に変更することを検討するとしている。
 もう一つは、少量であっても毒性が非常に強い新規化学物質について、現在の制度では第二種特定化学物質にも該当せず、環境排出量が非常に小さいために優先評価化学物質にも指定されない場合があることを踏まえ、このような物質について、情報伝達の努力義務、国による指導及び助言、取り扱い状況の報告要請などが提案されている。
 環境排出量は排出係数を用いて安全側で評価することを求めているが、この根拠についての情報公開も重要と考えられる。(文責:浦野 真弥)

 「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申案)」に関する意見募集の結果及び環境大臣への答申について
 環境省は昨年12月12日に標記の意見募集結果および第一次答申を公表した。
 答申では、平成21年の土壌汚染対策法の改正以降の状況や課題を踏まえた今後の在り方として、「土壌汚染調査及び区域指定」について、一時的免除中や施設操業中の事業場での土地の形質変更や搬出の規制などについて方向を示している。さらに、一定規模以上の土地の形質変更の際の土壌汚染状況調査に関する手続きの迅速化、届出対象範囲と調査対象深度の適正化、特定有害物質が地下水に到達しうる範囲の設定、飲用井戸の把握等や、臨海部の工業専用地域の特例として新区域を設定することなどが示されている。
 また、「要措置区域等における対策及び汚染土壌処理施設における処理」について、措置内容の確認が行われていないケースへの対応や区域指定解除情報の記録、要措置区域内の非汚染土壌を搬出するための認定調査の合理化、自然由来・埋立材由来の基準不適合土壌の取り扱いなどが示されている。
 全体的には過剰な対応を避け、リスクに応じた管理を促すと共に、不適切な扱い・措置等による汚染拡大を防止する内容となっており、科学的な視点からは適切に思われるが、リスクの評価方法や評価結果については、今後も汚染地の地方自治体や周辺住民の理解を求めていく必要があると思われる。(文責:浦野 真弥)

2016年11月号(No.140)

 PCB廃棄物の早期処理に係わる広報について−処理の期限まで最短で500日−
 環境省は11月15日に標記の広報内容等について公表した。
 ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物については、法律で定められた期限内に処理することが求められている。特に高濃度PCB廃棄物は、地域ごとに異なる計画的処理完了期限が定められており、最も早い地域では平成29年度末までにJESCOに処分委託することが求められている。
 環境省は、11月16日が期限まで500日となることを一つの機会と捉え、関係省庁及び都道府県市のSNSなどの広報ツールを活用し、高濃度PCB廃棄物の一刻も早い処理の達成に向けた一斉広報を展開するとしている。
 具体的な取り組みとして、(1)PCB早期処理情報サイトの開設、(2)PCB廃棄物の早期処理に向けたパンフレット[PDF]の改訂、(3)関係省庁および都道府県市によるPCB廃棄物の早期処理に係る一斉広報、を挙げている。これらのホームページやパンフレットでは、制度の説明や種々の廃棄物の汚染判断の仕方、問い合わせ先などがまとめられている。
 PCB廃棄物については、未だに処理制度や保有機器の取り扱いについて関係者の理解が十分に進んでいるとはいえないと感じられる点がある。今後も情報を更新、発信していくとのことであるが、これらによって、より積極的、かつ合理的な処理が進むことを期待したい。(文責:浦野 真弥)

 残留性有機汚染物質検討委員会第12回会合(POPRC12)の結果について
 環境省は9月27日に標記の会合の結果を公表した。
 9月19日から23日にかけて、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約の規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第12回会合がイタリアのローマで開催された。そこでは、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)以外の塩素化パラフィンに混入するSCCPの低減のための規制の必要性と共に、SCCPを条約上の廃絶対象物質に追加することをCOPに勧告することを決定した。また、SCCPは難燃剤や可塑剤、金属加工油剤として使用されており、途上国における必要性が明確にされれば特定の用途についての適用除外を設けることもあるとされた。なお、我が国ではSCCPは化審法の第一種監視化学物質に指定されている。
 さらに、ジコホル(化審法第一種特定化学物質指定済)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質について、規制対象物質とする必要性の検討を進めることが決定された。
 その他、デカブロモジフェニルエーテル(DBDE)の個別の適用除外に関する検討、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)の意図的でない生成による放出の削減に関する検討、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)代替ガイダンスの改訂、臭素化ジフェニルエーテルの個別の適用除外の見直しに関する報告書内容の吟味などが行われた。これらについて、日本の適切な対応が望まれる。(文責:浦野 真弥)

2016年7月号(No.138)

 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画(改定案)等」に対する意見募集について
 環境省は7月14日に標記の国内実施計画(改定案)等を公開し、意見募集を開始した。
 ストックホルム条約に基づいて、我が国では国内実施計画が作成、改訂されてきた。今回、平成25年4月から5月に開催された第6回締約国会議において対象物質として追加が決定したヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の効力が発効したことを受け、関係省庁連絡会議において、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画(改定案)」が取りまとめられた。また同時に、国内実施計画の実施状況を点検し「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画の点検結果(案)」が取りまとめられた。
 国内実施計画(改定案)では、2015年5月の第7回締約国会議で附属書への追加が決定されたペンタクロロフェノール又はその塩若しくはエステル、ポリ塩化ナフタレン及びヘキサクロロブタジエンを含めた対象物質についての国内状況や講じた施策の有効性の評価と課題、排出量削減への取り組みなどが整理、記載されている。
 PCBのように現在処理の過程にある物質から、HBCDのように今後排出が増加すると見込まれる物質、および今後新たに追加される物質などの残留性有機汚染物質は、身近に使われている物質も多いことから、国民の理解を進めながら、着実な廃絶、排出量削減がなされることが望まれる。(文責:浦野 真弥)

 福井県の事業場における膀胱がん発症に係る調査結果について
 厚生労働省は6月1日に標記の調査結果を公表した。
 厚生労働省では、これまでにも膀胱がんの原因と考えられたオルト-トルイジンを使用している事業場において同様の健康被害が生じていないかなどの調査を行い、その結果を示していたが、今回の調査結果は、(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所に委託した原因調査に関するものとなっている。
 調査では、事業場、労働者に対してヒアリングを実施し、労働者に保護具を着用させた上で過去の使用状況を再現して、オルト-トルイジン、アニリン、2,4-キシリジンの作業環境濃度、個人曝露量、尿中オルト-トルイジン、保護具の汚染濃度等の測定を行い、過去の曝露量を推定している。
 これらの調査、測定の結果、オルト-トルイジンを含む調査物質の経気道曝露量は少ないと推察され、作業に使用していたゴム手袋をオルト-トルイジンを含む溶剤で洗浄し、繰り返し再使用していたこと、作業に伴って直接接触する場合があったこと、洗浄を速やかに行わなかったことなどで、長期間にわたって経皮吸収された影響が強いと推定している。
 有機溶媒については、揮発と経気道曝露に注意が払われているが、今回のケースのように、取り扱い方によっては、経皮曝露により被害が生じる可能性があることを十分に理解しておくことが必要と考えられる。(文責:浦野 真弥)

2016年5月号(No.137)

 G7富山環境大臣会合の結果について
 環境省は5月16日に「G7富山環境大臣会合の結果について」を公表した。この会合では、東日本大震災と福島第一原発事故により被災した地域における環境回復及び復興の進展の現状説明等がなされた後、(1)持続可能な開発のための2030アジェンダ、(2)資源効率性・3R、(3)生物多様性、(4)気候変動及び関連施策、(5)化学物質管理、(6)都市の役割、(7)海洋ごみについて議論され、その結果がまとめられた。
 この中で、資源効率性・3Rについては率先して取り組み、経済成長と天然資源利用との分断(デカップリング)を促進することで一致し、さらに共通のビジョン、G7各国による野心的な行動、グローバルな取組の促進、着実なフォローアップを含む「富山物質循環フレームワーク」が採択された。また、同日に環境省から、資源効率性の向上がいかに経済成長や開発に寄与し、世界の物質、エネルギー、バイオマス、水の使用量や環境影響を低減させるかの展望を示したUNEP国際資源パネルの統合報告書、資源効率性の向上を実現するために取るべき主な政策アプローチや手法等を示したOECD政策ガイダンスが公表された。
 化学物質管理に関しては、水銀に関する水俣条約の早期発効と締約国による効果的な実施を引き続き支持することや、子どもの環境保健に関する科学的知見の共有を推進することなどで一致した。 全体的に国際的な課題に対して協調を図りながら対応していくことを強く示したものとなっている。(文責:浦野 真弥)

 日ASEAN化学物質管理データベースの本格運用開始
 経済産業省は5月11日に、AMEICC(日ASEAN経済産業協力委員会)の枠組みを活用して、ASEAN各国と日本の化学物質管理についてのデータベースを構築し、4月28日より独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)にて本格運用を開始したことを公表した。
 このデータベースには、日本とASEAN各国の政府から直接提供された化学物質関連規制情報が収載されている。トップページ及び一部の検索画面は、日本語及びASEAN各国言語にも対応しており、CAS番号や物質名、分子式などから検索することで、特定の化学物質に対する各国の規制状況を調べることができる。また、各国の法律における規制物質の一覧や法律の概要を知ることもでき、GHS分類結果や参考SDS等も入手できる。その他、関連情報へのリンクも用意されている。
 今まで必ずしも入手が容易でなかったASEAN各国の規制情報に無料で、誰でもアクセスできるようになり、日本とASEAN各国の規制の透明性が高まり、日本とASEAN内外の化学産業のコンプライアンスに関するリスク低減への貢献や、将来的には規制制度の調和への貢献が期待される。
 今後もユーザビリティなどの改善が行われることが望まれるが、このような他国の規制情報等は海外で事業展開する際に極めて重要と考えられる。今後、ASEANのみならず他の先進諸国を含めて国際的な情報が整理され、活用しやすくなることを期待したい。(文責:浦野 真弥)

2016年3月号(No.136)

 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定
 環境省はポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案が平成28年3月1日に閣議決定さたことを同日公表した。
 平成13年にPCB特措法を制定し、国が中心となって、JESCOの全国5か所の事業所に処理施設を整備し、高濃度PCB廃棄物の処理を実施してきた。事業所ごとの計画的処理完了期限は、地元との約束で、最短で平成30年度末となっているが、処分委託しない事業者や使用中のPCB製品も存在し、その達成が危ぶまれる状況となっている。本法律案は、こうした状況を踏まえ、期限を遵守して一日でも早く確実に高濃度PCBの処理を完了するために必要な制度的措置を講じるものである。
 法律案の概要は、(1)PCB廃棄物処理基本計画の閣議決定、(2)高濃度PCB廃棄物の処分の義務付け、(3)報告徴収・立入検査権限の強化、(4)高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行となっている。
 具体的には、保管事業者に計画的処理完了期限より前の処分を義務付け、義務違反に対して改善命令ができると同時に命令違反に対して罰則を科すものとなっている。また、PCB特措法に基づく届出がなされていない廃棄物等が一定量存在するとの調査結果等を受けて、都道府県等による事業者への報告徴収や立入検査の権限を強化し、保管事業者が不明等の場合にも、都道府県等が処分に係る代執行を行うことができる内容となっている。
 高濃度PCB廃棄物の不適正な取り扱いにより、環境汚染等を引き起こしてきた側面があることから早期の適正処理が望まれる。(文責:浦野 真弥)

 家庭用品規制法における特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料の規制が開始
 厚生労働省は、平成28年4月1日から、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(家庭用品規制法)において「特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料」を含む家庭用品の販売規制が始まることを改めて通知し、今回改正された規制の内容を紹介している。
 アゾ染料は種類も多く安価であることから、広く社会で用いられているが、規制対象となる有害物質は、皮膚表面や腸内細菌、肝臓等で還元され、発がん性、あるいはその疑いがある物質(特定芳香族アミン)を生成する可能性があるものである。すなわち、省令で定める試験法でベンジジンなど24種類の特定芳香族アミンを生成するものとなっており、規制濃度は特定芳香族アミンとして30mg/g以下となっている。また、規制対象となる家庭用品は、特定芳香族アミンを生成するアゾ染料を使用している家庭用品のうち、下着、靴下、中衣、外衣、手袋、寝具などの14繊維製品と、帽子、手袋などの6革製品となる。規制対象部位は、通常の使用形態で直接肌に接触する部分のみで、例えばコートの場合、襟元と袖口のみとなる。
 EU等では既に規制が行われており、また過去に実施した国内の実態調査においても、市販製品から検出、あるいは海外基準の超過が見られていた。使用範囲が広く、化学的変化によって生成する物質の規制であることから、対応が後手に回る可能性も考えられる。関係者への継続的な周知が必要と考えられる。(文責:浦野 真弥)


2016年1月号(No.135)

 環境省が化学物質の環境リスク初期評価(第14次とりまとめ)の結果を公表
 環境省は中環審環境保健部会化学物質評価専門委員会の審議を経た上で「環境リスク初期評価(第14次とりまとめ)」を平成27年12月24日に公表した。
 環境リスク初期評価は、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高い可能性がある物質を、科学的な知見に基づいてスクリーニング(抽出)するための最初のステップである。「詳細な評価を行う候補」及び「関連情報の収集が必要」と評価された物質については、関係部局等との連携と分担の下で、より詳細なリスク評価の実施、規制法に基づく排出抑制、継続的な環境濃度の監視、より高感度な分析法の開発等を図ることとしている。
 今回、健康リスクと生態リスクの双方を対象とした環境リスク初期評価が15物質、生態リスク初期評価が7物質について取りまとめられた。この初期評価の結果、詳細な評価を行う候補として、健康リスク初期評価で1,1-ジクロロエチレン、生態リスク初期評価でセレン及びその化合物、N,N-ジメチルオクタデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミンが抽出された。そのほかに関連情報の収集が必要なものとして、健康リスク初期評価で6物質、生態リスク初期評価で6物質が抽出された。
 今回の第14次取りまとめにより、これまでに240物質の環境リスク初期評価が取りまとめられたことになるが、近年、化学物質使用に伴う健康被害や事故の事例が散見される。関係者の協力の下でリスク評価及び管理がより一層進められることが期待される。(文責:浦野 真弥)

 厚生労働省が芳香族アミンによる健康障害の防止対策について関係業界に要請
 染料・顔料の中間体を製造する事業場で、複数名の労働者が膀胱がんを発症する事案が発生したことが明らかになった。膀胱がんを発症した労働者は、オルト−トルイジンをはじめとした芳香族アミンを取り扱う作業に従事していたことが分かってるが、現在、作業実態や発生原因について労働局・労働基準監督署及び(独)労働安全衛生総合研究所において調査を行っている。これらを踏まえ、平成27年12月18日、厚生労働省は予防的観点から関係業界団体に対して、芳香族アミンによる健康障害の防止対策の適切な実施を要請した。
 当該事業場で取り扱われている芳香族アミン5物質については、労働安全衛生法令では製造等の禁止や、管理濃度を定めた上での局所排気装置の設置・健康診断の実施等は義務付けられていないが、これらの物質を取り扱う事業者には、有害性等を確認するよう努めるほか、空気中の濃度が有害な程度にならないようにするため発散源を密閉する等により適切に管理しながら使用することなどが求められている。また、譲渡提供時の危険有害性や取扱い上の注意事項等を記載した安全データシートの提供が義務付けられている。
 法的に強い規制がされていない化学物質の中にも適切な管理を行わなければ健康被害をもたらす可能性がある化学物質が多数含まれている。労働安全衛生法改正もあり、安全データシートの確認、職場環境などの化学物質リスクを基本から見直す時期にあると考えられる。(文責:浦野 真弥)


2015年11月号(No.134)

 環境省が水銀関連法の施行令の閣議決定と意見募集の結果を公表
 環境省は「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」および「大気汚染防止法の一部を改正する法律」、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」に関し、施行期日を定める政令及び施行令、施行令等の一部を改正する政令が11月6日に閣議決定されたこと、および関連する意見募集の結果を同日に公表した。
 「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令」では、製造を規制する「特定水銀使用製品」として、一定の量を超える水銀を含有するボタン電池、蛍光灯等が定められ、水銀等の使用に係る規制を行う製造工程として、アセトアルデヒドの製造工程等が定められ、貯蔵に係る規制を行う水銀等として、水銀及び塩化第一水銀等の6種類の水銀化合物が定められた。
 大防法では、規制を行う水銀排出施設および関連事務手続きについて定めている。施設は、条約附属書Dに掲げる施設又は工程(石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄製錬の精錬・ばい焼工程、廃棄物焼却施設、セメント製造施設)のうち、一定の基準に該当するものとし、具体的な種類及び規模は環境省令で定めるとしている。
 廃棄物処理法では、廃水銀等を特別管理廃棄物に指定し、その処理基準を強化することとし、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀汚染物の処理基準等も追加された。廃棄物処理等の川下側での負担が大きくならないよう、情報の公開、伝達、広報が重要と考えられる。なお、各々の施行令の施行日は、概ね1〜2年となっているが、個別に確認していただきたい。(文責:浦野 真弥)

 環境省が残留性有機汚染物質検討委員会第11回会合(POPRC11)の結果を公表
 環境省は10月に開催された、残留性有機汚染物質を規制するストックホルム条約の規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第11回会合の結果を10月27日に公表した。
 会合では、主に難燃剤として使用されてきたデカブロモジフェニルエーテル(デカBDE)について、条約上の廃絶対象物質(自動車及び航空機用の特定の交換部品について適用除外あり)に追加することを締約国会議に勧告することが決定された。
 また、主に難燃剤として使用されてきた短鎖塩素化パラフィン(SCCP)について、改訂されたリスクプロファイル案を審議し、長距離移動の結果、重大な悪影響をもたらす恐れがあるとの結論に達し、リスク管理に関する評価案を作成する段階に進めることが決定された。
 新たに提案されたペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質(主用途はフッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等)については、リスクプロファイル案を作成することが決定され、PFOAの塩とPFOA関連物質を検討の対象に含めるかについて、リスクプロファイル案の作成段階で検討されることとなった。
 主用途が殺虫剤であるジコホル(日本では既に化審法の第一種特定化学物質に指定)については、さらに情報を収集して次回第12回会合で改めて議論することが決定された。
 これらのPOPsについて、日本の情報提供と途上国支援が望まれる。(文責:浦野 真弥)


2015年9月号(No.133)

 厚労省が「平成27年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会報告書」を公表
 厚生労働省の「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」は、労働安全衛生法施行令別表第9に新たに追加する物質についての検討結果を報告書としてまとめ、9月1日に公表した。
 今回の報告書では、米国労働衛生専門家会議(ACGIH)が許容濃度を勧告するなど、国際的に一定の有害性が認められた物質を中心に、38の化学物質について施行令別表第9への追加の必要性を検討し、プロペンやエチレン、ブテン(全異性体)、金属アルミニウム、よう化物など24物質について施行令別表第9へ追加することが妥当とされた。また、酸化マグネシウムなど12物質については、令別表第9への追加の必要性は認められるが、政府によるGHS分類及び区分が行われていないため継続して検討を行うこととされ、2物質については追加を見送ることが妥当とされた。厚生労働省は、この報告書を受けて法令改正の検討などの必要な準備を進めるとしている。
 この施行令別表第9に掲げる物質については、事業場において当該物質を安全に使用するため、国内で譲渡・提供しようとする際には安全データシート(SDS)の交付が必要となる。また、平成26年の労働安全衛生法の改正により、平成28年6月 1日から、これらの物質の譲渡・提供時の容器又は包装に一定の情報を表示すること、及びリスクアセスメントを行うことが義務となる。
 労働安全衛生に係わる制度変更に伴い、各事業所では、追加的対応や従来と異なる対応が必要となると考えられる。中小企業などでは、これを契機に職場での化学物質管理を抜本的に見直すことが望まれる。(文責:浦野 真弥)

 「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて」(報告案)を公表
 環境省は、8月4日に標記の報告案を公表するとともに意見を募集した。
 水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境項目については、利水目的(又は利水障害)に対応した水質のレベルを目標値としてきたが、各地域で採ってきた対策と湖沼や一部の内湾でのCOD環境基準達成率との関係の不明確さ、また、国民の水質環境に対する感覚とのギャップも指摘されてきたことから、それぞれの地域特性に応じた環境目標についても検討を進める必要があるとされていた。また、水域によっては、貧酸素水塊の発生等により水利用や水生生物の生息等に障害が生じている状況にあった。
 これらを受けて、中央環境審議会が専門委員会の議論を踏まえて、報告案を取りまとめた。
 報告案では、より国民の実感にあった分かりやすい指標により、良好な水環境の実現に向けた施策を効果的に実施するため、底層溶存酸素量を生活環境項目環境基準とした。また、沿岸透明度は環境基準ではなく、地域で設定する目標とするとの結論が示されている。
 自然環境は複雑で、従来の環境対策と環境改善効果が結びつかない事例も散見される。報告案では、水質の保全や生物多様性・生物生産性の確保といった複合的な観点から、科学的データの蓄積、分析を進めていくべきであるとしてるが、広い視野での研究とともに、様々な成果の柔軟な導入が必要と考える。(文責:浦野 真弥)


2015年7月号(No.132)

 「SAICM国内実施計画の進捗状況について(案)」に対する意見の募集について
 環境省は7月17日に「SAICM国内実施計画の進捗状況について(案)」について、意見の募集を開始した。
 「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM(サイカム))」は、「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する」との国際目標(WSSD2020年目標)の達成に向け、2006年の第1回国際化学物質管理会議(ICCM1)で採択された国際戦略及び行動計画である。
 我が国でWSSD2020年目標の達成に向けた戦略を示すものとして策定されたSAICM国内実施計画では、2015年9月開催のICCM4に先立って、国内実施計画の実施状況を点検し、結果を公表することとしており、本案はこれを受けてSAICM関係省庁連絡会議が取りまとめたものである。
 本案では、@科学的なリスク評価の推進、Aライフサイクル全体のリスクの低減、B未解明の問題への対応、C安全・安心の一層の推進、D国際協力・国際協調の推進、の5つの重点項目について、取り組むべき課題の基本的方向、現状と取り組み状況、今後の課題が整理されている。
 2020年での到達点が見えにくい箇所もあるが、今後も関係各所が一体となって取り組みを進めていくことが望まれる。(文責:浦野 真弥)

 自主的な環境配慮の取組事例集を公表
 環境省は6月30日に「自主的な環境配慮の取組事例集〜環境配慮で三方一両得〜」を公表した。
 経済活動を担う民間事業者、国、地方公共団体等は、事業の実施に際し、環境影響評価法や地方公共団体の環境影響評価に関する条例、その他の法令等に基づく制度等により、環境影響の把握や対策の検討等を実施し、より環境に配慮した事業を行うようになっている。
 環境省は、法令等の対象とならない事業や事業活動について、事業者による自主的な環境配慮の取組を支援し、促進するために、参考となる様々な事例をとりまとめた「事例集」を作成した。
 事例集の主な内容は、@「自主的な環境配慮の取組」とは、Aどのような事業で取り組まれているのか、Bなぜ取り組むのか、取り組むことによる効果とは、C「自主的な環境配慮の取組」において大切なこと、D自主的な環境配慮の取組事例などとなっている。
 Dにおいては、それぞれの事例について、実施に至った経緯や実施したことによる効果等を紹介している。また、開発事業での環境配慮に関する制度として、環境影響評価法や個別の法令等に基づく既存の制度、および事業者による取組を支援する制度等についても紹介している。
 本事例集でも触れているように、自主的な取り組みによって、地域住民の理解の促進や信頼関係の構築など多くの効果が期待できることから、今後も自主的な取り組みを促進させる施策の促進が期待される。(文責:浦野 真弥)


2015年5月号(No.131)

 「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて(答申)」が公表
 環境省は平成27年4月23日に標記の答申と本年1月30日から実施されたパブリックコメントの結果を併せて公表した。
 平成27年4月21日に開催された中央環境審議会水環境部会(第37回)において、昨年11月に環境基準が0.01mg/Lに変更されたことを踏まえて「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の許容限度等の見直しについて(報告)」が取りまとめられ、中央環境審議会会長から環境大臣へ答申がなされた。
 答申の概要は、トリクロロエチレンに関する水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目として、排水基準を現行の0.3mg/Lから0.1mg/Lに、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準を現行の0.03mg/Lから0.01mg/Lに変更するものとなっている。なお、特定地下浸透水が有害物質を含むものとしての要件(地下浸透基準)については、分析定量下限を考慮して0.002mg/Lで当面据え置きとされている。
 これを受け、環境省では排水基準等について、水質汚濁防止法施行規則及び排水基準を定める省令の改正を行う予定となっている。
 排水については大きな問題は生じないと考えられるが、浄化措置が必要となる地下水(井戸)は、かなり増加すると考えられる。今後、効率的に地下水浄化の推進を図るとともに、排水処理等に伴って大気放出量の増加がないように管理されることが望まれる。(文責:浦野 真弥)

 ストックホルム条約、バーゼル条約及びロッテルダム条約締約国会議の結果が公表
 環境省と経済産業省は5月4日〜15日にジュネーブにおいて開催された標記会議の結果を5月18日に公表した。
 ストックホルム条約(POPs条約)については、条約上の規制対象物質の追加、過去に附属書A(廃絶)又は附属書B(制限)に追加された化学物質の適用除外に関する評価及び今後の見直しに関する作業計画、条約の有効性の評価などについて議論が行われた。規制対象物質については、新たにポリ塩化ナフタレン(PCN)が同条約の附属書A及び附属書C(非意図的放出の削減)に、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)、ペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類が同条約の附属書Aに追加されることが決定された。
 また、条約の有効性の評価に関して、我が国では環境モニタリング調査により得られたデータの提供、東アジアPOPsネットワークにおける活動等を通じた貢献を行うとしている。さらに、環境省が実施しているエコチル調査の成果について、今後、条約の有効性評価に活用できるか検討する意向を表明している。
 バーゼル条約については、3つの技術ガイドライン(POPs廃棄物、水銀廃棄物及びE-waste)が採択され、ロッテルダム条約では、1物質(メタミドフォス)が新たに附属書Vに追加されて2015年9月15日に発効することとなった。
 国際的な化学物質管理の取り組みの中で、今後も我が国が主導的な役割を果たしていくことが望まれる。(文責:浦野 真弥)


2015年3月号(No.130)

 「平成27年度 食品の安全性に関する有害化学物質及び有害微生物のサーベイランス・モニタリング年次計画」の作成について
 農林水産省は平成27年3月4日に標記の年次計画を公表した。
 食品安全行政にリスクアナリシスが導入され、科学的情報に基づいた行政の推進が必要となっていることをうけて、農林水産省は「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順書」を示し、リスク管理措置を講じる必要性やその具体的内容を検討する際に不可欠なデータを得るため、サーベイランス・モニタリング中期計画を作成し、調査を実施している。
 平成27年度の対象物質は中期計画における優先度、およびこれまで実施したサーベイランス・モニタリング結果やリスク管理作業の進捗状況を考慮して定められている。
 化学物質のサーベイランスでは、土壌や米中のヒ素、水産物や飼料中ダイオキシン類、穀類中のデオキシニバレノール(DON)などのカビ毒のほか、調理・加工で生成するアクリルアミドやトランス脂肪酸なども対象とされ、目的に応じた最低調査点数が示されている。例えば穀類中のヒ素については、土壌、玄米、精米について、それぞれ1,000検体以上の調査が予定されている。
 有害化学物質モニタリングでは、飼料中のカドミウムや総水銀、鉛、カビ毒についての調査を予定している。
 科学的情報に基づいたリスク管理と消費者の視点に立った施策の実施は正しい方法であるが、国民への分かりやすい結果の公表と、今後の施策への具体的な反映が望まれる。(文責:浦野 真弥)

 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について
 「水銀による環境の汚染の防止に関する法律案」及び「大気汚染防止法の一部を改正する法律案」が3月10日に閣議決定された。両法律案は、水銀による地球規模での環境汚染防止を目的とする「水銀に関する水俣条約」の担保措置等を講ずるものであり、第189回国会に提出される予定となっている。
 「水銀による環境の汚染の防止に関する法律案」では、我が国の水銀対策の全体計画の策定、採掘、製品への使用、金採掘への使用、貯蔵、再生などに関する水銀の取り扱い禁止を定めており、「大気汚染防止法の一部を改正する法律案」では、水銀排出施設に係る届出制度、水銀等に係る排出基準の遵守義務等、排出抑制を要する施設の設置者の自主的取組を定めている。
 国内における水銀の大気への排出については、@石炭火力発電所、A産業用石炭燃焼ボイラー、B非鉄金属(鉛、亜鉛、銅、金で零細小規模採掘以外)製造用の精錬・焙焼工程、C廃棄物焼却設備、Dセメントクリンカー製造設備で約6〜7割を占めるとされている。水俣条約でも、これらの発生源に対し、水銀及び水銀化合物の大気排出を規制し、実行可能な場合には削減することとされている。ただし、廃棄物焼却設備については、水銀の除去率が向上したとはいえ、突発的な変動に対しては対応が難しい状況にあり、また製品の無水銀化と廃棄物としての排出時期に時間差があることを考慮した運用が求められる。(文責:浦野 真弥)


2015年1月号(No.129)

 「搬出困難な微量PCB汚染廃電気機器等の設置場所における解体・切断方法」について
 環境省は1月6日に、従来から課題となっていた搬出困難な大型のPCB汚染機器機器の解体方法を公開した。
 この文書は、「低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」を補足するものとして、大型機器を発生場所や保管場所から搬出・運搬するに当たって行われる付属部位の取り外し解体作業及び機器本体の切断作業における具体的な工程と、各工程における留意事項を示したものとなっている。微量PCB汚染機器を無害化処理認定施設等に運び入れるに当たり、機器の保管事業者が当該作業を自らの責任の下で行う場合、および無害化処理施設等の敷地内で行う場合に適用するとされている。また、作業は微量PCB汚染電気機器等の製造者やメンテナンス業者等、当該操作や設備等に対して知識や経験を有する者の協力を得て、本書に準拠した最適な方法を総合的に判断するものとされている。例えば、濃度によらず一般的な安全防護策や火災等への対応を求める一方、作業環境や大気のモニタリング、排気の活性炭処理等の必要性については、PCB濃度や作業状況を示して、リスクの程度に応じた適切な対応をとるものとされている。
 微量PCB汚染電気機器の取扱いについては、リスクが全く異なる高濃度PCB使用機器と類似の扱いを求められ、処理に高額を要するケースが見られている。本書をひとつの契機として、作業者および周辺の安全確保をした上で、不必要な対策を省いた合理性のある処理が進むことを期待したい。(文責:浦野 真弥)

 化学物質の環境リスク初期評価(第13次とりまとめ)の結果について
 環境省は平成26年12月25日に、化学物質環境リスク初期評価(第13次とりまとめ)結果を公表した。
 環境リスク初期評価において「詳細な評価を行う候補物質」および「関連情報の収集が必要な物質」については、関係部局等との連携と分担の下で、評価結果に応じて、より詳細なリスク評価の実施、規制法に基づく排出抑制、継続的な環境濃度の監視、より高感度の分析法の開発等を図ることとされている。
 今回は、健康リスクと生態リスクの双方を対象とした環境リスク初期評価を14物質について、生態リスク初期評価を4物質について、それぞれ取りまとめられている。ヒト健康リスクの詳細評価候補は有害性の知見や暴露データの見直しにより、室内空気の吸入リスクの観点からエチルベンゼン、クロトンアルデヒド、スチレンが選定された。生態リスクの詳細評価候補は3,4-ジクロロアニリン、チオ尿素とされている。また、上記物質よりもリスクは低いが、引き続き関連情報の収集が必要な物質も示されている。これまでに231物質の環境リスク初期評価が取りまとめられたことになるが、今後も用途ごとの規制法のみでは対応できない物質や用途が多岐にわたる物質など、総合的な化学物質管理が必要な物質等に重点を置いた環境リスク初期評価を進めるとされている。
 化学物質による被害等が生じない適切な予防的管理が一層進められることが望まれる。(文責:浦野 真弥)


2014年11月号(No.128)

 「水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令」の公布について
 環境省は11月4日にカドミウム及びその化合物について排水基準を0.1mg/Lから0.03mg/Lに、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準を0.01mg/Lから0.003mg/Lに改正する省令を公布し、12月1日から施行すると発表しました。
 カドミウムについては、平成23年10月に、公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準の基準値が0.01mg/Lから0.003mg/Lに変更されました。環境基準の値は国内外における最新の科学的知見に基づいて設定されており、排水基準の値は、こうした科学的知見を踏まえ、水質汚濁に関する環境基準の維持・達成、水質汚濁の防止、ひいては国民の健康を保護するために必要な水準として設定されるものです。今般の省令の改正は、新たな環境基準の維持・達成が図られることを前提とし、カドミウム及びその化合物の排水基準及び地下水の浄化措置命令に関する浄化基準を変更するものです。
 ただし、排水基準に対応することが著しく困難と認められる一部の工場・事業場(金属鉱業、亜鉛の第一次および二次精錬・精製業、亜鉛溶融めっき業)については、適用期間2年から3年の暫定排水基準が設定されています。また、既存施設については経過措置として半年から1年は旧基準を適用する経過措置がとられることとなっています。日本の基準がようやく国際基準となることに、しっかりと対応することが求められます。(文責:浦野 真弥)

 「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」の事業者向け説明会の開催について
 環境省は平成26年10月より平成27年3月までに全国50カ所で「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」の事業者向け説明会を経済産業省との共催で実施することを公表しました 。
 昨年6月に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」が改正され、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」と名称を改め、平成27年4月より全面施行が予定されています。改正によって、法律の対象範囲が広がり、新たな制度も導入されることから、施行に先立ち、主に業務用冷凍空調機器のユーザー、整備業者等を対象として法改正に関する説明会を開催するものです。また、同日同所で、全ての業務用冷凍空調機器のユーザーの方が必要となる「簡易点検」に関する説明会を開催することとしています。
 なお、地域によって既に満席状態となっていますが、申し込みサイトから、説明会の資料等を参照することが可能となっています。
 温室効果の大きいHFC排出量の増加の見込みや回収率の低迷への対応、さらには設備不良や経年劣化による使用時の漏洩に対して、製品の製造から廃棄までのライフサイクル全体での対策を実施することによる効果が期待されていますが、まずはユーザーを含めた関係者の制度の理解が求められます。(文責:浦野 真弥)


2014年9月号(No.127)

 土壌の汚染に係る環境基準の見直し(案)に対する意見の募集について
 環境省は9月16日に1,4-ジオキサンと塩化ビニルモノマーの土壌環境基準(溶出量)を新たに設定することに対する意見募集を始めました。
 平成21年から23年にかけて、1,4-ジオキサン、塩化ビニルモノマー、1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、カドミウム、トリクロロエチレンについて、水環境基準や地下水基準の追加や変更が行われました。水質浄化・地下水かん養機能を保全する観点から定めている土壌環境基準がこれらの公共水域および地下水の水質保全と密接な関係を有することを踏まえ、環境大臣から中央環境審議会に対し、これらの物質に係る「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について」(諮問第362号)諮問がなされました。それを受けて平成26年3月20日に1,1-ジクロロエチレンの土壌環境基準が改定されましたが、今回は検討物質の内、上記2物質について科学的知見の収集・解析を行い、土壌環境基準の見直し案をとりまとめたものです。
 基準値案として、平成15年厚生科学審議会答申に基づいて10-5発がんリスク相当の評価値、および関連水質基準、土壌環境基準の設定主旨等を踏まえて、1,4-ジオキサンについては、0.05mg/L以下が、塩化ビニルモノマーについては、0.002mg/Lが示されています。他の物質についても順次設定されると考えられますので、土壌汚染防止への一層の注意が求められます。(文責:浦野 真弥)

 ウォーターフットプリント算出事例集の公表について
 環境省は8月8日にウォーターフットプリントの算出事例集を公表しました。
 近年、様々な国際機関が水消費に関する指標を提案し、企業の水管理のあり方を評価する傾向が強まってきています。また、ISOにおいてウォーターフットプリント(原材料の栽培・生産等から輸送・流通、消費、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で直接的・間接的に消費・汚染された水の量を定量的に算定する手法)の規格化が進んでいます。ウォータフットプリントでは、量だけではなく質も考慮する必要があり、また時間的・空間的な要因が加わるなど、カーボンフットプリントよりも考慮する事項が多く、国内ではその算定方法や結果の使い方についての具体的な検討が始まったばかりで、ISO規格に対応するには更なる検討が必要な状況にあります。
 そこで環境省では平成25年1月に「ウォーターフットプリント算出に関する研究会」を立ち上げ、その成果を事例集として公表しました。この事例集では、概念に始まり、国際規格化の動向、目的、算定方法や結果の解釈について解説するとともに農作物及び食料品で4製品、工業製品で5製品について、具体的な事例を示しています。
 我々が使用する食品や製品の多くは、海外で水を利用していますが、水事情は国によって大きく異なります。それらに対する影響を適切に表現する手法について、さらに検討が進められることが期待されます。(文責:浦野 真弥)


2014年7月号(No.126)

 640の化学物質のリスクアセスメント義務を含む改正労働安全衛生法が成立
 労働安全衛生法の一部を改正する法律が、第186回国会で成立し、6月25日に公布されました。
 この改正法は労働安全衛生法での個別規制対象外の化学物質による胆管癌の労災事案が発生したことなど最近の労働災害の状況を踏まえて、労働者の安全と健康を確保するため、労働安全衛生対策の一層の充実を図ることを目的とするもので、化学物質管理のあり方の見直しやストレスチェック制度の創設、重大な労働災害事故を繰り返す企業への対応などを含んでいます。
 従来、特にリスクの高い業務がある116物質について個別規制が行われており、一定の危険性、有害性を持つ524物質については、有害性の評価(リスクアセスメント)は努力義務とされていましたが、今回の改正では、これらを合わせた640物質についてリスクアセスメントを義務づけています。
 具体的な方法については、今後指針が策定されることになっていますが、従来、対象となっていた物質のリスクアセスメント方法と大きく変わるものではないと予想されます。ただし、個別規制物質よりリスクが低いと考えられてきた物質についてリスクアセスメントが義務化されることから、SDS等で提供される物性や毒性情報の正確性や暴露量把握のための作業環境測定などで課題が生じる可能性もあります。労働者保護の観点から、実効性の高い指針が策定されることが望まれます。
 なお、改正法の施行は公布から1年以内とされていますが、化学物質管理のあり方の変更に関する部分については、2年を超えない範囲で政令で定める日とされました。(文責:浦野 真弥)

 「新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令の一部を改正する省令」の公布及び意見募集の結果について
 環境省、経済産業省、厚生労働省は、6月30日に「新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令の一部を改正する省令」を公布し、化学物質審査規制法において「少量中間物等新規化学物質確認制度」を新設し、本年10月1日に施行することを発表し、同時に意見募集(パブリックコメント)の結果について公開しました。
 今回の省令改正は、規制改革実施計画(平成25年6月14日閣議決定)を受けて検討を行った結果、予定されている取扱いの方法等からみて、その新規化学物質による環境の汚染が生じるおそれがないものと確認できる場合には、総量規制に代えて、一事業者あたり一年度に1トン以下の製造・輸入を認め、確認の申出の受付頻度も随時とできる「少量中間物等新規化学物質確認制度」を創設するものです。
 これにより、中間物又は輸出専用品として一年度1トン以下の新規化学物質を製造・輸入する事業者において、環境汚染の可能性への認識が高まるとともに手続に関する負担が大幅に軽減され、事業活動が迅速化・円滑化されることが期待されます。また、意見募集では、手続きにかかる事業者負担の軽減に対する要望が多く、関連三省は環境への予測放出量等の計算は不要で、手続きを簡素化するものである旨を回答しています。具体的な記載例については、追って各省のホームページに掲載するとしています。(文責:浦野 真弥)


2014年5月号(No.125)

 中環審「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)」を答申
 平成26年4月18日に開催された中央環境審議会大気・騒音振動部会において、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第十次答申)」が取りまとめられ、30日付けで中央環境審議会会長から環境大臣に対し、答申がなされました
 この答申は「今後の有害大気汚染物質対策の健康リスク評価のあり方」の改定について及びマンガン及びその化合物の指針値に関するものです。
 大気汚染防止法で示されている「優先取組物質」の指針値の算出については、第七次答申(第八次答申で一部改訂)で、その具体的手順が示されていました。しかし、現時点で環境目標値が設定されていない優先取組物質等について指針値を算出する際に、人に関する疫学知見がない、あるいは定量評価に用いることのできる人のデータが得られない場合の具体的な手順が明確ではありませんでした。このため、「今後の有害大気汚染物質の健康リスク評価のあり方について」及び別紙「指針値算出の具体的手順」について全面改定を行ったものです。
 また、優先取組物質のうち指針値が設定されていない10物質については、環境省において環境目標値の設定に向けて健康影響に関する科学的知見の充実が図られているところですが、今回、マンガン及び無機マンガン化合物について、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針値が検討され、年平均値0.14mg-Mn/m3以下が設定されました。(文責:浦野 真弥)

 低濃度PCB廃棄物の処理に係わる新しい動き
 環境省は、平成26年5月8日に(株)かんでんエンジニアリングが申請していた洗浄方式の微量PCB汚染電気機器等の無害化処理施設について大臣認定を行いました。この方法は、洗浄処理技術として初めて認定を受けたもので、移動可能な設備を用いて、現地で、洗浄剤による循環洗浄を行い、抜油後の廃電気機器の内部を浄化するものです。
 これで計17施設が認定/許可を受けたことになります。このうち、処理が遅れていると見られる電気機器の筐体等の処理が可能な施設は7つとなり、地域的な偏りがあるものの施設数は増加しています。しかしながら、環境省で公開されている処理実績を見ると、必ずしも施設の処理容量通りに処理が進まず、施設容量以外にも処理阻害要因の改善が必要であることが伺えます。
 一方、(一社)日本経済団体連合会が内閣府の規制改革会議に「微量PCB汚染廃電気機器等の処理の加速化に向けた新たな仕組みの導入」を申請しています(PDF, pp.40)。これには所有者側の視点から、高濃度PCBに比して低リスクの微量汚染機器、特に抜油後の機器に極めて高額の処理費を要していること、処理完了の見通しが不明なことなどの課題が指摘されています。処理対象廃棄物の量や処理における様々な課題を整理し、産官学民の協力によって処理を促進することが望まれます。(文責:浦野 真弥)


2014年3月号(No.124)

 環境省が平成24年度廃家電の不法投棄等の状況について公表
 環境省は、平成25年3月4日に特定家庭用機器再商品化法の対象機器等の廃家電の不法投棄状況等の調査結果を公表した。
 これによると、家電4品目の平成24年度の全国不法投棄台数(推計値)は116,500台(前年度161,400台)で、前年度と比較して27.8%の減少となった。これは再商品化台数の概ね1%弱に相当する。内訳および前年度比を見ると、エアコンが1.1%(前年度比31.6%減)、ブラウン管式テレビが74.0%(前年度比32.8%減)、液晶・プラズマ式テレビが1.9%(前年度比34.2%増)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が15.9%(前年度比7.1%減)、電気洗濯機・衣類乾燥機が7.2%(前年度比15.1%減)となっており、台数及び減少量に対してはブラウン管式テレビの寄与が大きい結果となっている。また、液晶・プラズマ式テレビのみ増加傾向を示した。この数年の増減を見ると、本号で田中氏が示した再商品化処理台数の傾向と一年の遅れで類似しており、地デジテレビへの移行およびエコポイント制度による買い換えが強く関係していたと推察される。
 廃パソコンの平成24年度の不法投棄台数の合計は4,769台(前年度4,439台)で7.4%の増加となった。内訳を見ると、ノートブックが前年比26.3%贈の1,257台と大きな増加傾向を示していた。  国や自治体では、パンフレット等による啓発や巡回監視等の不法投棄防止策を講じているが、自治体の財政負担状況は大きく変化していないようである。海外への流出対策を含めて継続的な啓発が必要であろう。(文責:浦野 真弥)

 環境省が平成24年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果について公表
 環境省は、平成24年3月14日に平成24年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果を公表した。
 平成24年度において法に基づく調査結果が報告されたのは689件(累計3,380件)で、要措置区域等に指定された件数は466件(累計1,191件)であった。内訳では243件が法第3条(有害物質使用特定施設の廃止時調査)で、143件が法第4条(大規模土地改変時調査)、303件が法第14条(区域指定申請のための自主的調査)、都道府県知事の指示による調査は0件であった。2010年の改正によって調査契機が増加したことにより、法に基づく調査数は法改正前に比べて増加し、その後横ばいとなっている。なお、基準不適合であった特定有害物質は、従来と同様の傾向で、VOCよりも重金属等が多く、後者では鉛、フッ素、ヒ素の順で多かった。
 また、平成24年度調査では法第3条に基づく調査数が、前年度調査の771件から1,233件と急増している。ほとんどの施設で調査件数は増加傾向を示しているが、件数では酸又はアルカリによる表面処理施設、科学技術に関する研究、試験、検査又は専門教育を行う事業場の洗浄施設、電気めっき施設の順に多く、また法第3条調査が一時的に免除された有害物質使用特定施設も、この順で多かった。当該年度における企業倒産件数は前年度と大きく変化していないが、廃業や事業所の統廃合によるものと推測される。(文責:浦野 真弥)


2014年1月号(No.123)

 平成24年度化学物質環境実態調査結果の概要が公表
 環境省は、平成25年12月27日に昨年度の化学物質環境実態調査結果の概要を公表した。  これによると、平成24年には、初期環境調査としてはアニシジン類等の18物質(群)が調査対象とされ、一部の物質は排出情報を考慮した地点でも調査された。また、詳細環境調査としてはアクリル酸n-ブチル等の14物質(群)、モニタリング調査としてはPOPs条約対象のPCB等の10物質にペルフルオロオクタン酸(PFOA)とベンゾトリアゾール類の1物質を加えた12物質が調査された。
 初期環境調査では、水質については調査対象10物質(群)中5物質、生物については調査対象1物質、大気については調査対象8物質中6物質が検出された。また、詳細環境調査では、水質については調査対象14物質(群)中12物質、底質については調査対象2物質、生物については調査対象2物質、大気については調査対象3物質が検出された。モニタリング調査では、従前のPOPs条約対象4物質と HCHの経年変化が横ばいまたは漸減傾向とされているが、比較的高濃度の地域は大幅な低減がないままである。また、新規POPs条約対象物とその他の2物質は全てが検出され、広く環境を汚染していることが示されている。
 このような環境化学物質の環境調査は汚染実態を知る基礎データとして重要であるが、今後は、汚染実態を知るだけでなく、過去のデータも含めて、化学物質の環境挙動の解析、汚染源の特定や汚染防止、および汚染の浄化にも役立てるための方法について、具体的な例を含めた情報提供がなされることを期待したい。(文責:浦野 紘平)

 大気・水質・土壌の基準値等の追加・変更についての意見募集
 環境省は、「今後の有害大気汚染物質対策の健康リスク評価のあり方について」の改訂と同時に、マンガン及びその無機化合物の環境指針値として0.14μg/m3を設定するのが妥当という報告案についての意見募集、土壌の汚染に係る環境基準の見直し(案)として、1,1-ジクロロエチレンの環境基準を0.02mg/Lから0.1mg/Lにする案についての意見募集、および水質汚濁に係る健康の保護に関する環境基準のうち、トリクロロエチレンの基準を0.03mg/Lから0.01mg/Lにする報告案についての意見募集を行っている。
 大気のマンガン及びその無機化合物については、検討が開始された頃から排出量と大気濃度が低下し、基準を超過しているところは非常に少ない。また、土壌環境の1,1-ジクロロエチレンについては基準が緩くなったので問題は少ない。
 一方、トリクロロエチレンの水質環境基準強化は、飲料水水質基準と連動したものであるが、土壌・地下水汚染との関係でも影響が大きい。この基準見直しでは、耐容1日摂取量(TDI)の変更の他に、従来の1日2Lの水を飲むとして評価されていたのが、揮発性、脂溶性の物質については、入浴時の吸入や皮膚吸収を考慮して1日5Lで評価するとされている。この点は、類似の物質の基準強化にも影響する大きな変化であり、十分な議論と理解が必要と考えられる。(文責:浦野 紘平)


2013年11月号(No.122)

 環境省が残留性有機汚染物質検討委員会第9回会合(POPRC9)の結果を公表
 環境省は、25年10月14日〜18日にローマで開催されたPOPRC9会合の結果を公表した。
 この会合では、エンジンオイル添加剤や防腐剤等として用いられている塩素数2〜8の塩素化ナフタレン(CN)及び溶媒として用いれているヘキサクロロブタジエン(HCBD)については、POPs条約の付属書A(廃絶)及び付属書C(非意図的生成物質の排出削減)に追加するように締約国会議に勧告することを決定した。
 また、農薬等に使用されているペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類については、重大な悪影響がありうるとして、リスク管理に関する評価書を作成することを決定し、難燃剤のデカブロモフェニルエーテルについては、スクリーニング基準を満たしているとして、リスクプロファイル案の作成に進むが、殺虫剤のジコボルについては、スクリーニング基準を満たしているか否かを再度議論することとした。
 さらに、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の規制適用除外であるエッチング剤、半導体レジスト、業務用写真フィルム等について、適用除外を続けるか否かの調査を行うこととした。
 日本では、塩素数3〜8のCN、HCBD及びジコボルは、既に化審法の第一種特定化学物質に指定されて新たな使用は禁止され、デカブロモフェニルエーテルも使用が抑制されている。今後は、塩素数2のCNの廃絶と非意図的排出の抑制やデカブロモフェニルエーテルの確実な使用規制とPFOSの代替化が必要となろう。(文責:浦野 紘平)

 環境省が「次亜塩素酸水、エチレン、焼酎の特定農薬への指定等」について意見募集
 環境省は、次亜塩素酸水、エチレン及び焼酎を特定農薬として指定すること並びに次亜塩素酸水の参考となる使用方法等として周知するべきことについて意見と情報を募集した。
 9月25日の中環審土壌農薬部会農薬小委員会で、次亜塩素酸水(塩酸又は塩化カリウム水溶液を電気分解して得られるものに限る)、エチレン及び焼酎を特定農薬、すなわち「人畜等に害を及ぼす恐れがないもので、製造、販売、使用にあたって登録を要しない農薬」に指定することが了承されたのを受けて意見募集を行ったものである。
 次亜塩素酸は、水生生物に対して強い毒性を示すことがよく知られているが、今回は塩酸又は塩化カリウム水溶液を電気分解して得られるpH6.5以下、有効塩素濃度10〜60mg/Lの水を、キュウリのうどんこ病やイチゴの灰色カビ病の防止のために少量散布する場合等においてのみ特定農薬にするとしている。なお、エチレンはほとんど水中に入らないこと、焼酎は水生生物毒性が弱いこと等から、特定農薬にするとしている。
 次亜塩素酸水溶液は、様々な有機物と速やかに反応して有害な有機塩素化合物を生成することが知られている。このため、適用作物に生成した有機塩素化合物が残留しないことを確認する必要があり、この確認なしに特定農薬に指定するには問題がある。また、濃度や使用方法を誤ると水生生物に悪影響を及ぼす恐れがあるので、使用方法を周知することが重要である。(文責:浦野 紘平)


2013年9月号(No.121)

 環境省が「土壌汚染対策法に基づく汚染土壌処理業の許可審査に関する技術的留意事項について」を公表
 環境省は、都道府県知事が汚染土壌処理施設を許可する際に、適正な処理を確保するために留意する事項をまとめたガイドを公表した。
 全体的には、共通の留意事項と処理施設の種類や処理方法ごとの留意事項に分かれている。共通事項には、処理施設の種類、処理方法に応じた処理設備(実証方法)、構造耐力上の安全性、腐食防止措置、飛散等・地下浸透・悪臭を防止する構造、騒音・振動の防止、排出水処理設備等(公共用水域放流と下水道放流)、地下水モニタリング設備、大気有害物質処理設備等について記されている。
 また、処理施設の種類や処理方法ごとの留意事項には、浄化等処理施設としての抽出−洗浄、抽出−化学脱着、抽出−熱脱着、熱分解、化学分解、生物分解、溶融、不溶化の8種類の処理施設、セメント製造施設、埋立処理施設としての内陸埋立、水面埋立、盛り土構造物の3種類の処理施設、および分別等処理施設としての異物除去と含水率調整の2種類の処理施設について、処理フローと処理可能な有害物質、排水・排ガス対策、維持管理方法などを示している。
 このガイドは、都道府県の担当者だけでなく、許可を得ようとする処理業者にも参考となり、また、研究者や学生の参考書としても有用である。ただし、実際の土壌汚染現場は、多種類の物質で汚染されていたり、建物下のこともり、汚染深度や地下水の状況なども多様であるので、汚染地の特徴に適した方法と施設を適切に選んで利用することが重要と言えよう。(文責:浦野 紘平)

 環境省が「平成25年6月環境経済観測調査」の結果を公表
 環境省は、8月30日に、平成25年6月に調査した環境ビジネス等の短観結果を公表した。
 環境省では、平成22年12月から半年ごとに、資本金2,000万円以上の企業に対して、環境ビジネスについてのアンケート調査を行った結果を公表している。今回は10,935社に対して、@全体的な業況(現在、半年先、10年先)、A発展している分野(現在、半年先、10年先)、B業況・国内需給・提供価格・研究開発費・設備規模・人員体制・資金繰り・海外需給・海外販路拡大意向等の具体的な業況、C実施している環境ビジネス、D今後実施したい環境ビジネス等について調査し、4,825社(回答率44.1%)の回答をまとめたものである。
 これによると、環境ビジネスは、ディフュージョンインデクス(DI:良いという回答割合−悪いという回答割合)が15で、前回の9から向上し、全ビジネスの1よりもかなり大きくなっていること、半年後には19(全ビジネス7)、10年先は26(全ビジネ11)と予想されていること、地球温暖化対策と自然環境保全関連ビジネスの伸びが期待されていること、当面は省エネルギー自動車や太陽光発電機器製造などが発展するが、10年後には太陽光発電以外の再生可能エネルギーやスマートグリッドも期待されていること等が示されている。
 日本の成長戦略の柱の一つとされている環境ビジネスが予測どおりに発展するには課題も多いが、このような調査結果が様々な政策に反映されることを期待したい。(文責:浦野 紘平)


2013年7月号(No.120)

 平成24年度化学物質複合影響評価手法検討調査報告書が公表された
 環境省は、6月18日に標記の報告書を公表した。
 国際機関や欧米諸国では、化学物質の複合影響評価に関連するガイダンス文書の作成や評価事例等の公表が行われており、複合影響評価は研究段階から活用段階に向けた取組みが進みつつあるが、日本ではほとんど検討されてこなかった。そこで、環境省は、国内外の動向調査、概念や用語の整理、検討対象物質のグルーピング、段階的な評価等を試行した報告書を公表した。これによると、@欧米では化学物質の複合影響評価の必要性に関する認識が共有されつつあり、横断的なガイドラインの策定が準備され、既に実施評価が進められている。A複合影響評価に関する概念と用語についてては、引き続き整理が必要である。B生態影響に関する複合影響評価の対象物質抽出手法として、構造類似性に着目し、OECDのカテゴリー情報を活用たグルーピングを試行した。Cグルーピングされた物質群について、WHO/IPCSの評価の枠組みをもとに、国内での初期段階評価を試行したが、情報が少なく、さらに検討が必要であった。Dp-n-オクチルフェノール、p-n-ノニルフェノールについて、魚類への同時ばく露の急性毒性試験を行ったところ、相加的な相互作用が示唆されたが、現実の環境中濃度レベルにおける試験の必要性が指摘されたなどとしている。
 化学物質の複合影響の評価が必要であることについては誰も異論はないが、実際には非常に難しい。全体ではなく、出来るところから順次進めていくことが必要であろう。(文責:浦野 紘平)

 カネボウ化粧品等が薬用化粧品を自主回収
 厚生労働省は、(株)カネボウ化粧品、(株)リサージ、(株)エキップの3社が製造販売するロドデノール:4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノールを配合した薬用化粧品が白斑(肌がまだらに白くなる状態)を生じることがあるとの報告により、7月4日から自主回収を始めたことを知らせ、使用中止と自主回収への協力を呼びかけた
 この成分を含んだ薬用化粧品は、メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。皮膚をすこやかに保ち、皮膚にうるおいを与える。皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚を保護する等々の効能を謳った流行の美白製品であり、カネボウ化粧品だけでも26製品、出荷個数は約4,000万個にも達し、既に使い終わって回収困難なものが多いと考えられる。
 ロドデノールは白樺の樹皮にも含まれているが、中国等で製造された合成品が使用されている。化粧品については、それなりの試験が行われているはずであるが、ロドデノールの安全性に関する情報はほとんど公開されていない。
 化粧品だけでなく、生活用品など、様々な体質の人が使用または暴露される化学物質の安全性を確実に評価することは容易ではない。このため、ある程度のデータをもとに市販し、利用者による人体実験をしているような面がある。化学物質に敏感な人に対しても十分に配慮し、苦情が寄せられた場合には速やかな情報公開と適切な対応を行う体制の整備が重要である。(文責:浦野 紘平)


2013年5月号(No.119)

 フロン対策の大幅改正法案が閣議決定
 4月19日の閣議で、「特定製品に係るフロン類の回収および破壊の実施の確保等に関する法律(通称フロン回収破壊法)」を大幅に改正し、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」とする案が決定された。
 この法案は、2050年にはフロン類の地球温暖化への影響をほぼゼロにするとの目標を基に、温暖化効果の大きいフロン類(冷凍空調機器の冷媒用のハイドロフルオロカーボン類等)の排出量が今後急増すると予測されていること、現在の法律による回収破壊率が30%台からほとんど改善しないことなどを踏まえて、@フロン類の製造・輸入業者に、温室効果の低いフロン類の技術開発・製造や一定の使用済フロン類の再生といった取組等のフロン類の使用合理化を求めること、Aフロン類使用製品(冷凍空調機器等)の製造・輸入業者に、一定の目標年度におけるノンフロン製品又は温室効果の低いフロン類を使用した製品への転換等を求めること、B業務用冷凍空調機器の管理者に、適切な設置、点検、故障時の迅速な修理等の管理の適正化に取り組むように求め、一定の要件に該当する管理者には、フロン類の漏えい量の年次報告を求める(国が集計して公表)こと、C業務用冷凍空調機器に使用されるフロン類の充填業の登録制、再生業の許可制を導入することなどを定め、公布日から2年以内に施行するとしている。
 回収破壊という下流側だけでなく、上流のフロンメーカーや機器メーカー等と中流の維持管理業者等にも温室効果の高いフロン類の削減義務を求めた画期的対策のスタートとなるもので、フロン問題に約40年間取り組んできた者として、実行ある運用を期待している。(文責:浦野 紘平)

環境省と農林水産省が「住宅地等における農薬使用について」新たな通知を発出
 環境省と農林水産省は、4月26日に都道府県知事宛に、学校、保育所、病院、公園等の植物、街路樹並びに住宅地に隣接する農地(市民菜園や家庭菜園を含む)及び森林における農薬使用についての局長通知を出した。
 この通知は平成16年の通知が徹底されないため、これを見直したものであり、農薬の飛散を原因とする住民、子ども等の健康被害が生じないよう、飛散防止対策の一層の徹底を図るため、より分かりやすく具体的な記載をしたものである。
 この見直しには、@対策の異なる公園、街路樹等と農地をそれぞれ別の項目として記載したこと、A平成22年5月策定の「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」を踏まえて記載したこと、B地方公共団体等による植栽管理業務委託時の仕様書への遵守事項の規定や適正使用に関する資格の入札要件化、研修会への定期的な参加などの事例を記載したこと、C公園・街路樹等においては、農薬の現地混用を行わないように記載したこと、D農薬使用の事前周知にあたり、化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮するよう記載したことなどがある。
 化学物質過敏症の発症原因の一つが農薬散布であり、苦情も多いことから、本通知が活かされるような自治体の理解と努力が期待される。また、被害情報や農薬の免疫毒性情報の充実と公開、登録保留基準への反映等、適正な農薬管理体制の一層の充実が望まれる。(文責:浦野 紘平)


2013年3月号(No.118)

 環境省が日本人におけるダイオキシン類等の暴露量の平成23年度調査結果を公表
 環境省は、平成14年度から行っているダイオキシン類の人への蓄積性調査を踏えて、ダイオキシン類だけでなく、PFOSとPFOA、水銀やカドミウム等の金属類、有機リン系やピレスロイド系等の農薬代謝物と可塑剤のフタル酸エステル類、ビスフェノールA、およびPCB等のPOPsについての23年度調査結果をパンフレットにまとめて公表した(報道発表資料環境省環境保健部リスク評価室資料[PDF])。その結果によると、ダイオキシン類の食事からの摂取量は0.035〜2.4pg-TEQ/kg体重/日で耐容1日摂取量(TDI)の4pg-TEQ/kg体重/日以下であり、他の物質の食事からの摂取量は、PFOSがN.D.〜1.7ng/kg体重/日、PFOAがN.D.〜2.9ng/kg体重/日、水銀がN.D.〜0.16μg/kg体重/日、鉛が0.059〜0.39μg/kg体重/日、カドミウムが0.024〜0.17μg/kg体重/日でTDI以内であったとしている。
 また、尿中の7種類の農薬代謝物および5種類のフタル酸エステル類とビスフェノールAの濃度はN.D〜670μg/gであったこと、さらに、PCB類等のPOPsの血中濃度および食事からの摂取量も示されている。なかでも全PCB類の血中濃度が31〜1,400ng/g-脂肪、食事からの摂取量が0.82〜35ng/kg体重/日、p,p'DDEの血中濃度が17〜1,000ng/g-脂肪、食事からの摂取量が0.24〜8.2ng/kg体重/日と高いままであることが示されている。
 このような調査は、日本人の化学物質への暴露状態を知る上で貴重なものであるが、調査結果を今後の化学物質対策にいかに活用するかが重要であるといえよう。(文責:浦野 紘平)

環境省が平成23年度PRTR集計結果を公表
 環境省は、2月28日に平成23年度PRTRデータ:化学物質の排出量・移動量の集計結果を公表した。
 これによると、届出事業所数は36,638で前年比850減、届出排出量は約174,000トンで前年比4%減であったが、届出移動量は約225,000トンで前年比14%も増加し、それらの合計も5%増加した。
 なお、平成21年度から継続されている物質の届出排出量は前年比4%減、届出移動量16%増、合計も6%増であった。また、届出外の排出量は、約255,000トンで前年比6%減であったとしている。
 詳しいデータは、環境省「PRTRインフォメーション広場」経済産業省「化学物質排出把握管理促進法」に掲載されている。これらには、全国/都道府県別および全業種/業種別の届出排出量・移動量の他に、従業員別の全国/都道府県別及び業種別の届出排出量・移動量、全国/都道府県別届出外排出量、全国/都道府県別移動体排出量、届出排出量・移動量の経年変化、届出外排出量の推計方法、および個別事業所データが示されている。また、データを地図上で見やすくしたり、個別事業所を地図上で検索できるようにもなっている(環境省「PRTRインフォメーション広場−事業所データを見る」)。
 このように、PRTRデータの公表方法はかなり進んできたので、毒性情報と組み合わせていかに活用するかが一層重要になってきている。また、届出義務があるのに届出していない事業所のチェック、および下水処理場などからの届出の不統一さの改善等、データの信頼性向上への取り組みが必要になっているといえる。(文責:浦野 紘平)


2013年1月号(No.117)

 環境省が化学物質の環境リスク初期評価(第11次とりまとめ)の結果を公表
 環境省は、化学物質による人の健康や生態系への悪影響を未然に防止するためにリスクが高い疑いのある物質について順次初期評価を進めており、第11次報告として23物質の評価結果を公表した。
 その結果、詳細なリスク評価が必要なクラスAの物質としてインジウム及びその化合物(健康リスク)とコバルト及びその化合物(生態リスク)、クラスAよりリスクは低いが、引き続き関連情報の収集が必要なクラスB1の物質としてアクリル酸エチル、キノリン、3-クロロプロペン、コバルト及びその化合物、バナジウム及びその化合物(健康リスク)とバナジウム及びその化合物(生態リスク)、リスクの判定はできないが、引き続き関連情報の収集が必要なクラスB2の物質としてジシクロペンタジエン、1,3,5-トリメチルベンゼン(健康リスク)とアクリル酸エチル、インジウム及びその化合物、3-クロロプロペン、1,3,5-トリメチルベンゼン(生態リスク)が挙げられ、健康リスクについては10物質、生態リスクについては16物質が、現時点ではさらなる作業の必要性は低いクラスCとされた。
 これまでに、209物質の環境リスク初期評価に加え、96の生態リスク初期評価がまとめられたことになり、結果が公表されている。
 このようなリスクのクラス分けは、化学物質の予防的管理に有効であるので、さらに多くの物質について速やかに評価を行うとともに、評価結果を全省庁の関連部局や地方自治体で活用することが期待される。(文責:浦野 紘平)

環境省が平成23年度化学物質環境実態調査結果を公表
 環境省は、昭和49年から行っている化学物質環境実態調査の平成23年度調査結果を公表した。
 調査対象物質は、各担当部局からの要望があった物質を中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会で評価して選定されたもので、初期環境調査としてアクリルアミド等14物質(群)、詳細環境調査としてクロロアニリン等4物質(群)、モニタリング調査としてPCB類等の17物質(群)が対象とされた。
 初期環境調査では、水質で7調査物質中、イソブチルアルコール、コバルト及びその化合物、フルオランテン、カルベンダジム、大気で8調査物質中、アリルアルコール、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、ビスフェノールA、メタアクリル酸n-ブチルが検出された。詳細環境調査では、水質で3調査物質中、クロロアニリン類とo-ジクロロベンゼン、底質で2調査物質中、ペルフルオロアルキル酸類が検出された。モニタリング調査では、従来からのPOPs条約対象7物質は、経年的に横ばいか漸減傾向にあるが、人口密集地近傍沿岸域の魚で高めになっていることなどが示され、新規POPs条約対象7物質(群)及びPFOA、HBCD、NN'-ジメチルホルムアミドの3物質も様々な環境試料から検出された。
 環境中化学物質の調査は、基盤情報の蓄積として重要であるが、環境リスク初期評価結果等と併せて、調査結果を環境管理に一層有効に活用する方法を考える必要があろう。(文責:浦野 紘平)


2012年11月号(No.116)

 環境省が「水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について」意見公募
 環境省は水生生物保全環境基準専門委員会の第二次報告案の水質環境基準項目追加について、10月16日〜11月15日まで意見公募を行った
 この案では、従来の全亜鉛に加えて、第1次答申に基づいて本年8月22日に告示されたノニルフェノールの追加に引き続き、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)を環境基準項目とし、基準値を淡水域20〜40μg/L・一般海域10μg/L・特別海域6μg/Lとするよう提案している。また、4-t-オクチルフェノール、アニリン、2,4-ジククロロフェノールを要監視項目とし、各物質の指針値を淡水域0.7〜4μg/L・一般海域0.9μg/L・特別海域0.4μg/L、淡水域20μg/L・一般海域と特別海域100μg/L、淡水域3〜30μg/L・一般海域20μg/L・特別海域10μg/Lと提案している。また、各物質の検出状況や測定方法も示されている。
 平成15年に全亜鉛の基準値とクロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒドの指針値が定められてから9年も経った今年にようやく5項目が追加となったが、水生生物保全の意義、方法、法的根拠等については未だ議論が多い。
 今後、基準項目については排水基準も検討されることになるであろうが、LASなどは家庭排水にも含まれるので、排水規制だけでなく、これらを含む家庭用品や工業薬剤の削減誘導等も検討する必要がある。また、産業排水と都市下水の処理方法や処理効果等の実態調査も不可欠である。技術的に実現可能で、かつ効果的な対策が速やかに進められることを期待したい。(文責:浦野 紘平)

第6回日中韓における化学物質管理に関する政策ダイアローグの結果公表
 10月29日〜31日に、第6回日中韓における化学物質管理に関する政策ダイアローグ(対話)が中国の杭州で開催された。
 29日の専門家会合では、化学物質に係る生態毒性試験テストガイドラインに関する現状と今後の課題、日本のGLP施設への視察からの教訓、化学物質のリスク評価手法についての情報交換が行われ、今後は三カ国の生態毒性試験に関する情報収集と情報共有、ナノ物質の生態毒性に関する情報交換のためのプラットフォーム構築、生態毒性についての構造活性相関(QSAR)に関する情報交換などを行うことが合意された。
 30日の政府事務レベル会合では、各国の化学物質管理政策と国際動向への対応に関する情報と意見の交換が行われ、日本と中国での法改正、韓国での新制度の国会審議を踏まえ、リスク評価手法についての活発な質疑応答がなされた。次回は PRTR制度やナノ物質の生態毒性試験に関する技術的事項についても情報共有を行うこととなった。
 31日の日中韓の化学物質管理政策に関するセミナーでは、約300名の参加を得て、日本と中国の化学物質審査に関する改正法令の施行・運用状況、「韓国REACH」の内容や検討状況等について発表がなされ、活発な情報と意見の交換がなされた。
 この日中韓化学物質管理政策ダイアローグは、三カ国の化学物質管理制度の調和を図るために重要な会合であり、今後一層の理解に基づく緊密な連携が期待される。(文責:浦野 紘平)


2012年9月号(No.115)

 「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(環境庁告示第13号)改正」について意見公募
 環境省は、産業廃棄物の検定方法について定めた昭和48年環境庁告示第13号の一部を改正する告示案について、9月28日まで意見を公募している
 この改訂では、埋立処分を行おうとする燃えがらと汚泥、および鉱滓やばいじんとそれらの処理物、または海洋投入を行おうとする汚泥についての揮発性物質を除く重金属等の検定方法を改訂するもので、主な改訂点は以下のとおりである。
@溶出液の固液分離を3,000Gで10分間遠心分離(従来は必要な場合のみ)後に、孔経1μmのメンブレンフィルター(従来はガラス繊維ろ紙)でろ過すること
A溶出試験に用いる水をJIS K0557 A3またはA4の水(従来は純水)と明確にしたこと
BpH調整を不要としたこと(従来は、純水に水酸化ナトリウムまたは塩酸を加えてpH5.8〜6.3としたもの)
C容器を液量の概ね2倍と規定したこと
D振とうを水平振とうに限定したこと
E海面埋立または海洋投入する汚泥またはその処理物の溶出液について、ろ過操作を無くしたこと
FICP/MS法による分析方法を追加したこと
GJISの改正に合わせてJIS番号を変更したこと
 これらの改訂は、より再現性のある検定方法とし、普及してきたICP/MSを導入した改訂ではあるが、鉛などはメンブレンフィルターでも損失することがあり、シアン化合物も取扱中に分解または揮発することがあるなど、残された課題も少なくない。また、遠心分離の取扱やメンブレンフィルターの孔経など、類似している汚染土壌の検定方法との関係も明確ではない。今後これらについての一層の改善が望まれる。(文責:浦野 紘平)

「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」が公表
 環境省は、8月28日に「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン」の改訂第2版を公表した。
 この改訂版は、自然由来の有害物質が含まれる汚染土壌で盛土された場合の取扱を明確にしたもので、主な内容は、以下のとおりである。
@盛土部分と同質の地層が深さ10m以浅に分布している土地(公用水面埋立や干拓地を除く)で、かつ平成22年3月31日以前完了工事か、それ以後の工事でも自然由来汚染土壌の掘削と盛土が同一事業であるか、掘削場所と盛土場所の距離が900以内の場合には、「自然由来特例の調査」と「第二溶出基準」による判定が認められること
A平成22年3月31日以前完了工事であっても、盛土部分と同質の地層が深さ10m以浅に分布していないか、10mより深部に分布している土地(公用水面埋立や干拓地を除く)は、「基本となる調査」を行い、自然由来汚染の判断と「第二溶出基準」に適合しているか否かで判定すること
B上記以外の土公用水面埋立や干拓地を除く土地は、人的原因汚染土壌として「基本となる調査」を行うこと
C公用水面埋立や干拓事業によって造成された土地は、人的原因汚染土壌として「基本となる調査」または「水面埋立地特例の調査」を行うこと
 この改訂版は改善されたものの、法令と同様に文章が難解であり、現場での理解と遵守のための努力が欠かせないであろう。(文責:浦野 紘平)


2012年7月号(No.114)

 環境省が「SICAM国内実施計画(案)」について意見公募
 環境省はSICAM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)の日本での実施計画案をまとめ、8月15日まで意見公募を行っている
 SAICMは、「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で、使用、生産されることを2020年までに達成する」という国際的に合意された戦略と行動計画であり、化学物質管理にとって極めて重要なものである。
 政府は、第三次環境基本計画に基づいて、関係省庁連絡会議を設置し、また「化学物質と環境に関する政策対話」などの議論を経て「国内実施計画案」をとりまとめた。この計画案には、現在の化学物質管理のための法令と法規制以外の仕組み等、および化学物質の管理に係わる取組状況と課題を整理し、具体的な施策の展開として、基本的考え方と具体的な取組事項が提案され、点検と改訂の在り方も示されている。また、参考資料として「世界行動計画(GPA)に対する我が国の取組状況」が多面的な項目の表として示されている。
 このように、化学物質管理の状況や相互の関係、および今後の課題が整理され、改善の方向が示されたことは、大変有意義である。しかし、関係法令や関係省庁等が複雑に入り組んでいて分かりにくく、整合性もとられていないことも多いので、これらの改善および国の取組と地方自治体や市民団体・一般市民との協働体制の充実など、課題の早期改善が望まれる。(文責:浦野 紘平)

「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」の施行規則等が公布された
 平成24年10月1日に「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」が全面施行されることに伴い、「法律施行規則」と「協働取組による環境保全に関する公共サービスの効果が十分に発揮される契約の推進に関する省令」が6月29日に公布された
 この施行規則では、@環境教育等指定団体についての経理的基礎と技術的能力等の基準や申請手続、A人材認定事業の登録についての事業内容、申請手続、経済的基礎と技術的能力の基準、B体験の機会の場の認定についての事業内容等の基準と申請手続、C環境保全に係わる協定の締結についての公表事項、協働取組の申出書記載事項と申出手続、協働取組の申出が適切と認められる基準、D国民、民間団体等による協定の届出等についての公表事項、届出書記載事項と届出手続などが定められている。
 また上記省令では、国や独立行政法人等が行う、民間団体が専門的知見や地域特性を生かせる分野で民間団体と協働する公共サービス事業では、価格以外の多用な要素を考慮して契約することなどを定めている。
 これらの施行規則や省令は、一定レベルを担保した環境教育を推進するために役立つと考えられるが、自主的な取組を阻害しない運用が必要である。また、最も重要な学校教育との連携についての課題が多いので、今後、学校教育との本格的な連携が期待される。(文責:浦野 紘平)


2012年5月号(No.113)

 環境省が「無害化処理に係わる特例の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物」の改正について意見公募
 環境省は無害化処理認定施設において処理する廃棄物として、微量PCB汚染廃電気機器等を指定した以外に、PCBを含む廃棄物についても無害化実証試験を行ってきた。その結果として5,200mg/kgのPCB汚染物を含む試験試料について、確実かつ適正に処理できることが実証されたこと、および「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」の議論を踏まえて、処理対象物の見直し案を示し、6月11日まで意見公募をしている
 具体的には、@「廃PCB」のうちで、PCB濃度が5,000mg/kg(100%近い廃PCBの2,000分の1)以下のもの、APCBが汚泥、紙くず、木くず、又は繊維くずに塗布又は染み込んでいるか、廃プラスチック類、金属くず、陶磁器くず若しくは工作物の新築や改築時に発生するコンクリ−ト破砕物等でPCBが付着し又は封入されている「PCB汚染物」のうちで、PCB量が5,000mg/kg以下のもの、BPCBが、廃油、廃酸又は廃アルカリ、汚泥、紙くず、木くず、又は繊維くずに含まれるか、廃プラスチック類、金属くず等に付着しているもの、その他の「PCB処理物」のうち、PCB量が5,000mg/kg以下のものが処理対象物の候補となっている。
 法で定められた期限内にPCB廃棄物を無害化処理することが難しくなっている一方で、火災や津波等によってPCBが行方不明になるリスクも大きい。規制・管理方法の不足な点と過剰な点を見直し、次世代へのツケを早期になくせるよう、関係者の一層の努力を期待したい。(文責:浦野 紘平)

第14回日中韓環境大臣会合及び日中・日韓二国間会談が開催された
 5月3日、4日に、第14回日中韓三カ国環境大臣会合が開催された。この会合では、細野環境大臣、周中国環境保護部長、劉韓国環境部長官が出席し、各国の環境政策の進展、地球規模および地域の環境課題について意見交換が行われ、共同コミュニケが採択された。また、三カ国の学生および産業界の代表者の間でも議論が行われて大臣会合に報告され、さらに各二カ国間の意見交換も行われた。
 この会合では、電子電気機器廃棄物の不法越境移動、遺伝子資源問題を含む生物多様性、グリーン経済、グリーン成長、低炭素成長、越境大気汚染等の他に、東日本大震災を踏まえた災害時の環境汚染防止のための取組など、非常に幅広い問題が取り上げられた。また、学生間では、若者の果たす役割、産業界代表者間では、環境サービス産業を発展させるための市場スキームの創設、改善、国際協力等について意見交換が行われた。中でも原子力安全規制に関する政策対話、重金属汚染対策の共同研究、黄砂観測情報のリアルタイム共有等が合意されたことは有意義であった。
 この日中韓環境大臣会合は、三国間の環境問題についての柱となる会合であるが、話題が多すぎて、事務的な情報と意見の交換が主になっている。地球温暖化対策の他に、黄砂・酸性降下物・オキシダントの越境移動など、日本に深刻な影響を与えている課題の改善について真剣に交渉し、協力して改善することが望まれる。(文責:浦野 紘平)


2012年3月号(No.112)

 環境省が平成22年度の化学物質の排出量・移動量(PRTRデータ)の集計結果等を公表
 3月14日に、環境省が平成22年度のPRTRデータの集計結果等を公表した。
 今回の報告から、対象物質が462物質に増加(従来の354物質から78物質削除、186物質追加)されたことから、合計の届出排出量は4%増、届出移動量は14%増となったとされている。一方、従来からの継続276物質については、それぞれ6%と4%の減少になっており、新規物質186物質の届出排出量は全排出量の10.4%、届出移動量は全移動量の14.1%であったとされている。推計された332物質の届出外排出量は21年度より2%増、継続233物質の推計届出外排出量は1%減とされている。
 さらに、東日本大震災地域の届出事業所の集計結果も示されているが、今回の報告には震災の影響は小さいとされている。これらの他に、個別事業所の届出データ、全国と各都道府県毎の業種別と従業員数別の届出排出量と移動量、および届出外排出量と移動体(自動車等)からの排出量の集計表など多数の表、並びに経年変化や推計方法が公表されているので、様々な解析が可能である。
 新しい物質も追加され、日本のPRTR制度が定着し、充実してきたようにも思える。しかし、届出事業所数は36,491で、21年度より約1,900も減少している。対象物質を取り扱わなくなったのなら改善ともとれるが、届出義務があるのに届け出ていない事業所がある可能性も高い。また、PRTRデータの活用も十分とは言えない。今後これらの点について、地方自治体やNPO等によるさらなる改善が望まれる。(文責:浦野 紘平)

環境省が平成22年度の大気汚染状況を公表
 2月24日に、環境省は平成22年度の大気汚染モニタリング結果を公表した(微小粒子状物質を除く/微小粒子状物質(PM2.5)有害大気汚染物質モニタリング調査結果報告)。
 古くからの汚染物質については、1,503の一般測定局(一般局)と429の自動車排ガス測定局(自排局)で測定され、環境基準を満たさない割合は、NO2は一般局で0%、自排局で4.3%、SPMは両局とも7.0%、SO2は一般局で0.3%、自排局0%、COは両局とも0%で、ほとんどが環境基準を満たしていた。
 また、ベンゼン等の有害大気汚染物質については、280〜420の測定局で、ヒ素及びその化合物が3地点で環境基準を超過しているのみであった。
 一方、微小粒子状物質(PM2.5)は、73測定局のうちで、250日以上の測定ができた有効測定局数は46局(一般局34、自排局12)しかなく、かつ一般局で23局(67.6%)、自排局で11局(91.7%)が環境基準を満たしていなかった。なお、一般局のうち5局は黄砂によって基準を超過したとされている。
 さらに、光化学オキシダントは、一般局1,144局、自排局33局で測定され、いずれも100%環境基準を満たしていなかった。注意報や警報が発令された延べ日数も182日あり、都市周辺での高濃度日数も多くなっている。また、オキシダント濃度の昼間の日最高1時間値の年平均値は、平成15年度から増加し続けている。
 SPMとオキシダントは、NOxとVOCとから大気中で生成することが知られ、また海外からの流入もある。今後、これらの解明と効果的な対策の一層の推進が必要である。(文責:浦野 紘平)


2012年1月号(No.111)

 平成22年度化学物質環境実態調査結果の概要が公表
 昨年12月28日に、環境省が平成22年度の化学物質環境調査結果の概要を公表した。
 この調査は、関係各部局からの調査要望物質から選定された物質を対象に、「初期調査」、「詳細環境調査」、「モニタリング調査」を行うものである。22年度の初期調査では、水質で7調査物質中ペンタナールが検出され、底質で5調査物質中2,4-キシレノール、キノリン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸メチルが、大気で4調査物質中ε-カプロラクタム、酢酸2-エトキシエチル、ジメチルスルホキシド、フタル酸n-ブチル=ベンジルが検出された。
 詳細調査では、水質で7調査物質中セリウム及びその化合物、2,2',6,6'-テトラ-tert-ブチル-4,4'-メチレンジフェノール、トルイジン類、ブタン-2-オン=オキシム、ペルフルオロアルキル酸類、メチルナフタレン類が検出され、底質で3調査物質中2,2',6,6'-テトラ-tert-ブチル-4,4'-メチレンジフェノール、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)が、生物で2調査対象物質中2,2',6,6'-テトラ-tert-ブチル-4,4'-メチレンジフェノールが検出され、大気では2調査物質が不検出であった。
 モニタリング調査では、以前から調査してきたPOPs条約対象物質と新規条約対象物質に、ペルフルオロオクタン酸、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン類、トリブチルスズ化合物及びトリフェニルスズ化合物を加えた15物質(群)を調査し、おおむね横這いまたは低減傾向であったという。
 微量ながら多くの化学物質が検出されていることから、PRTR対象物質などの排出抑制を一層進める工夫が望まれる。(文責:浦野 紘平)

環境省が改正水質汚濁防止法の説明会を開催
 平成23年6月22日に、水質汚濁防止法の一部を改正する法律が公布され、24年6月1日に施行されるのに伴い、環境省では関係する事業者を対象に、2、3月に全国7箇所で説明会を開催する
 この法改正では、事故等により継続して発生している地下水汚染の未然防止を図るため、有害物質を使用・貯蔵等する施設の設置者に対し、施設の構造と設備及び使用の方法の届出と基準の遵守、定期点検及び結果の記録・保存を義務付け、義務違反には改善命令や操業停止を行うものである。環境省では、構造、設備及び使用の方法に関する基準及び定期点検の方法等を解説するための「地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル」を近くとりまとめるとしている。これに先立ち、福岡で2月3日、大阪で2月9日、東京で2月13日、岡山で2月21日、名古屋で2月22日、仙台で3月1日、札幌で3月2日(受付締切は約1週間前)に、改正の内容やマニュアルのポイントを解説する説明会を開催する。
 今回の水濁法改正は、排出水の規制を主に行ってきた従来の方法に加えて、施設基準や管理基準によって、汚染を未然防止するという新しい手法が導入される点で画期的な改正といえるが、対象事業所の規模や様態が非常に多様であることから、実効性を上げるには、柔軟な運用ときめ細かな指導や支援が必要と考えられる。(文責:浦野 紘平)


2011年11月号(No.110)

 残留性有機汚染物質検討委員会第7回会合(POPRC7)で新たな規制対象物質が議論
 残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約の科学的・専門的検討委員会の第7回会合が10月10日〜14日にジュネーブで開催された
 この会合では、臭素系難燃剤のヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)を評価した結果、規制対象とするよう締約国会議に勧告することを決定し、今後、追加情報を収集して付属書A(廃絶)かB(規制)かの特定と個別適用除外の検討などを行うこととなった。
 また、エンジンオイル添加剤や防腐剤等に使用されてきた塩素数2以上の塩化ナフタレン(CN)と合成原料や溶媒等に使用されてきたヘキサクロロブタジエン(HCDB)は、リスクプロファイル(危険性に関する詳細検討)案の作成に進み、農薬や殺菌剤に使用されてきたペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類については、代謝物との関係等についてさらに情報収集して次回に検討し、難燃剤として使用されてきた短鎖塩素化パラフィン(SCCP)については、毒性学的相互作用の評価等について情報収集を行うこととなった。
 POPs条約での決定は、先進国での生産や使用がほぼ終了する時期まで延ばされ、途上国への圧力にしかなっていないとの批判もある。また、この条約の対象物質が、同様の考え方で定められている日本の化審法第一種特定化学物質(28物質)と異なることへの疑問もある。本条約が古典的とも言える地球規模の汚染物質の事後管理だけでなく、ある広さの地域での悪影響が疑われる化審法第二種特定化学物質、あるいはREACHの高懸念物質(SVHC)などを含めた有害化学物質の事後管理と予防的管理の両方に役立つように進展することを期待したい。(文責:浦野 紘平)

第12回日中韓環境教育シンポジウム及びワークショップが開催される
 10月25日と26日に韓国慶州で、日中韓環境大臣会合での合意に基づく、日中韓環境教育ネットワーク(TEEN)の第12回シンポジウムとワークショップが開催された
 このシンポジウムでは、TEENの年間活動報告の後、韓国環境部から「低炭素グリーン成長」構想と学校及び地域の相互補完的な協力関係の紹介、中国環境保護部から「環境教育の四つのレベル」の説明とボランティア若者が務める「千名青年環境友好使者」の活動、環境教育及び持続可能な開発をMBAプログラムに組み込む「ベルプロジェクト」等の紹介、日本から東日本大震災で得られた環境問題に関する教訓や改正環境教育等促進法の内容等の紹介があり、討論が行われた。
 ワークショップでは、韓国から、環境及びグリーン成長を学校のカリキュラムに組み込む「グリーンリーダー育成」と子どもの環境クラブ、中国から、「千名青年環境友好使者」の詳細と生物多様性に関する雲南省の環境保護活動の報告があった。日本からは、産学官民連携の環境人材育成コンソーシアムでの「T字型」環境人材育成事業、信州大学グリーンMOT教育、高校生を対象とした「日本の環境を守る若武者育成塾」等の紹介がなされ、質疑応答が行われた。また、学生セッションでは、各国の大学における優良事例の紹介が行われた。
 環境教育について三カ国の交流が行われることは好ましいが、各国内での情報・意見の交換も一層進められることが望まれる。(文責:浦野 紘平)


2011年9月号(No.109)

 環境省が焼却灰等の処分方法と産廃焼却施設焼却灰の放射性セシウム濃度の調査結果を公表
 環境省は、東電の原発事故に伴って広く拡散した放射性物質を含む焼却灰等について、7月5日付けで8,000ベクレル/kg以下のものは埋立してよいが、これを越えるものは一時保管するように事務連絡し、8月31日付けで、8,000〜100,000ベクレル/kgの灰についての3つの処分方法を公表し、翌日に事務連絡するとともに、実態調査を進めてきた。
 この実態調査の一環として、12都県の110産業廃棄物焼却設備の焼却灰についてセシウム134と137の濃度を調査した結果を9月15日発表した。これによると、33施設では100ベクレル/kg以下、44施設では100〜1,000ベクレル/kg以下、27施設では1,000〜8,000ベクレル/kg以下であったが、6施設では8,000ベクレル/kgを越え、最高値は144,200ベクレル/kgに達していた。環境省では、今回の調査結果を受けて、16都県に上記の事務連絡にしたがった適切な処分をすることと、高めとなった施設の実態調査を行うよう要請し、環境省も8,000ベクレル/kgを越えた6施設の追跡調査と他の類似施設の調査を行うこととしているが、100,000ベクレル/kgを越えた廃棄物の処理・処分方法は未定である。
 埋立等の安全性についての説明が徹底していないことなどから、埋立地周辺の住民には、不安があり、反対運動もある。しかし、残念ながら、放射性物質による汚染が広がってしまった現実を考えれば、大量に発生する放射性廃棄物は、できるだけ人と離れた場所に隔離して管理する以外に方法はない。このため、環境省と自治体が協力して、積極的に情報を公開し、説明会等を行うことが極めて重要になっている。(文責:浦野 紘平)

環境省が第3回SAICMアジア太平洋地域会合等の結果について発表
 環境省は、ヨハネスブルグサミットの「2020年までに化学物質が健康環境や環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにする」目標のために策定された「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」の第3回アジア太平洋地域会合の結果を9月12日に発表した。
 この会合では、ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料、電気電子製品のライフサイクルにおける有害物質、製品中化学物質、塗料中鉛などの「新規課題」への取り組みがUNEP事務局等から報告され、前二者をSAICM本体の行動計画に組み込むことを支持し、活性化を検討することになり、その他の課題も検討を続けることとなった。
 さらに、内分泌攪乱物質と残留性の高い医薬品汚染物質を「新規課題」として取り上げるという提案を支持するが、前者を優先することのほか、環境分野担当部局と保健分野担当部局との一層の連携が必要であることなどが確認された。
 なお、この会合に先立ち、ペルフルオロ化合物(PFC)およびナノテクノロジーとナノ材料に関するワークショップが開催された。
 SAICMは、国際的な化学物質管理の中核となるものであるが、目標達成は楽観できる状況ではない。アジア太平洋地域で最も化学物質の使用量が多く、責任と情報をもっている日本の政府、業界、NGO等が協力して、リーダーシップを発揮することを期待したい。(文責:浦野 紘平)


2011年7月号(No.108)

 東日本大震災に伴う放射性廃棄物等の処理に関する新法の検討が活発化
 東日本大震災によって生じた廃棄物の処理について、野党4党が7月1に提出した「瓦礫処理特別措置法案」を受け、政府は、国(環境大臣)が市町村に代わって処理し、経費の負担や支援もできるようにする「東日本大震災により生じた廃棄物の処理の特例に関する法案」を7月8日に閣議決定し、第177国会に提出した。
 原子力発電所の通常運転によって生じる放射性廃棄物については「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」等があるものの、事故に伴って排出された放射性物質によって汚染された瓦礫や動植物(都市ゴミや産業廃棄物等)、下水汚泥や浄水汚泥、土砂や底質等、およびそれらの処理物についての処理・処分の主体や経費負担や方法等については、法律が全くない状態である。環境省では7月15日に、法律の空白状態を解消するために、まず、今回の事故を対象に限定した新法を制定して対応し、次に、原子炉等規制法などとの調整を行って、本格的な廃棄物処理法の改正を行う方針を発表した。
 また、細野豪志原発事故担当相は、7月16日の福島県知事との会談で、放射性廃棄物の処理は国の責任で行う体制を作りたいと発言している。
 震災廃棄物、とくに放射性廃棄物については、復興の妨げや不安増幅の原因になっているので、早期の法的整備と責任の明確化、財政的な裏付け、技術的確認などが求められており、与野党が協力した早い実現が望まれる。(文責:浦野 紘平)

環境省が土壌汚染対策法施行規則を一部改正する省令等を公布
 環境省は、7月8日に、土壌汚染防止法施行規則の一部改正に伴う省令等の改正を公布した。
 これは、平成22年4月1日から全面施行されている改正法の円滑な施行のための改正である。
 改正の要点は、@自然由来土壌汚染地及び臨海埋立地での工事施工方法の制約軽減の特例、A区域指定に当たっての自然由来重金属や浚渫土砂等埋立用材料による汚染調査を円滑/適切に行うための特例、B指定区域から健全土として搬出する際の調査負担の軽減と掘削後の調査方法の規定、Cその他の規定の整備のほか、セメント製造施設での汚染土壌処理での負担軽減、及び埋立地管理区域の帯水層に接する土地の形質変更の施工方法の基準制定と要措置区域内の土地形質変更の例外行為の施工方法の基準制定などである。
 また、7月15日には、この省令等の改正についての意見公募に対して寄せられた合計253件もの意見に対して、環境省の運用方針等を含む具体的な見解が発表されている。
 土壌汚染の調査や対策が進まなかった原因の一つに、法律運用の硬直化があったことから、今回の改正は歓迎する方向ではあるが、まだ課題も多い。これを契機に、土地利用形態ごとのリスクについての議論が一層深められ、リスクを避けるために必要かつ十分で、より経済的な調査・分析方法や対策方法等が導入され、土壌汚染の改善が促進されることを期待したい。(文責:浦野 紘平)


2011年5月号(No.107)

 環境省が震災地域の環境汚染状態を調査
 環境省は、4月27日に震災地域の「アスベスト大気濃度調査に係る予備調査の結果について」を発表し、5月2日に「東日本大震災の被災地における環境モニタリング調査について」を発表した。
 大気中アスベストの予備調査によると、震災から約1ヶ月後のアスベスト濃度は、スレートが存在するがれき集積場においても、通常の一般大気とほぼ同じであったが、石膏や植物繊維等が多かったことから、がれき処理や建築物解体作業時に防塵マスク着用の徹底が必要としている。
 また、環境モニタリング調査計画では、大気は岩手、宮城、福島、茨城4県の数十地点でのNO2、SO2、SPM、CO、有害大気汚染物質の優先取組物質とダイオキシン類の調査、公共用水域は青森から茨城の太平洋沿岸の流入河川と海域約300地点での健康項目、生活項目とダイオキシン類、地下水は青森と上記4県の約250地点での健康項目とダイオキシン類、土壌は岩手、宮城、福島3県の数十カ所での特定有害物質25種とダイオキシン類、海洋環境は岩手、宮城、福島沖の7測線上の約21地点での油、有害物質、ダイオキシン類の調査を行うとともに、約50地点での津波堆積物の性状分析と適正処理の検討を行うとしている。
 被災者の安心や効率的な対策のためには、多くの地点での環境汚染状態の早期の把握が必要ではあるが、明らかに不要と思われる測定項目も散見される。このようなときだからこそ、簡易測定法の利用を含めて税金を被災者のために有効に使う工夫が望まれる。(文責:浦野 紘平)

環境省が平成23年版環境統計集を発行
 環境省は、4月15日に環境に関する様々なデータを集めた平成23年版環境統計集の発行を発表した。
 この統計集は、巻頭で、国際機関での「負荷」、「状況」、「対応」の三つの視点からの環境指標の検討を紹介し、関連する60余の図表で解説した上で、第1章には国内と海外の人口や面積、総生産額、エネルギー需給等々の社会経済一般のデータ、第2章には温室効果ガス排出をはじめとする11の地球環境問題関連データ、第3章には国内の大きな物質フロー、廃棄物や製品のフロー等の物質循環データ、第4章には大気環境関連データ、第5章には土壌汚染や地盤沈下を含む水環境関連データ、第6章にはダイオキシン類を含む化学物質関連データ、第7章には土地利用を含む自然環境関連データ、第8章には行政と企業および市民・NGOの各種環境対策に関するデータが示されている「環境に関する総合的なデータ」である。
 23年版では、企業の環境投資に関するデータの追加、「環境・循環型社会・生物多様性白書」の対応ページの表示、環境基本計画の進捗状況を把握するための総合的環境指標の掲載が行われている。
 この統計集は冊子でも販売(2,200円)されているが、環境省のホームページからも、過去のデータと合わせてエクセル形式の表で入手でき、様々な加工が可能である。「白書」とともに活用すれば、環境問題の理解に大いに役立つので、多くの方に利用を勧めたい。(文責:浦野 紘平)


2011年3月号(No.106)

 環境省が「平成21年度大気汚染状況について」を公表
 環境省では、2月28日に「平成21年度大気汚染状況について(一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局の測定結果報告)」、3月14日に「同(有害大気汚染物質モニタリング調査結果)」を公表した。
 これらによると、環境基準達成率は、二酸化窒素の一般局では平成18年度から100%、自排局では95.7%であり、年平均値はいずれも改善傾向となっている。浮遊粒子状物質は、一般局では98.8%、自排局では99.5%であり、年平均値はいずれも改善傾向となっている。光化学オキシダントは、一般局では0.1%、自排局では0%で、極めて低いままであるが、注意報等の発令都道府県数は28都府県で減少し、発令延日数も123日と最近5年間では最も少なくなっている。二酸化硫黄は、一般局では99.6%、自排局では100%、一酸化炭素はすべてで環境基準を達成している。
 一方、有害大気汚染物質については、ベンゼンが436地点、1,2-ジクロロエタンが363地点、ニッケルが300地点中で1地点のみで、ヒ素が280地点中4地点で基準値または指針値を超過していた。
 このように、海外からの汚染物質飛来の影響がある中で、大気汚染状況は着実に改善されてきており、各種規制やVOC排出量の自主管理等の効果が明確に現れてきているので、今後とも継続した努力が望まれる。(文責:浦野 紘平)

環境省が「大気汚染防止法施行規則等の一部を改正する省令の公布及び意見募集の結果について(お知らせ)」を発表
 環境省では、3月16日に、大気汚染防止法施行規則と水質汚濁防止法施行規則の一部を改正する省令に対する意見募集の結果、およびそれを踏まえた改正省令の公布と4月1日施行を知らせた。
 意見募集には、水質汚濁防止法施行規則を中心に16団体・個人から43件の意見が寄せられた。大気汚染関係では、硫黄酸化物排出量が10m3/N以下の施設の測定義務免除、使用燃料硫黄分測定の対象外、計量証明書と「同様の事項が証明された場合」の中身の確認等が行われている。
 水質汚濁関係では、測定項目と測定頻度についての意見が多くあり、条例を含めて、排出のおそれがあるとして「届出」をした項目と頻度についてのみ、最も悪いと推定される時期・時刻での測定を原則とするが、他の項目についても必要に応じて(問題が起きた場合など)測定義務があるとの見解が明示されている。また、記録の保存については、データの改ざん等を踏まえ、計量証明書または自ら測定した場合の試料採取記録や測定チャート等、「測定結果の妥当性を証明できる資料」の保存を義務づけたことが明示されている。
 今まで曖昧であった、必要な事項と不必要な事項がかなり明確になってきたので、今後、地方自治体や規制対象事業所への詳細情報の徹底によって、適切で公平な施行が行われ、併せて企業の情報公開や地域との連携が進み、不適正な事案がなくなることを期待したい。(文責:浦野 紘平)


2011年1月号(No.105)

 環境省が「平成21年度化学物質環境実態調査の結果(概要)」を発表
 環境省では、各担当部署からの要望を中心に選定した化学物質の環境実態調査について、21年度の「初期環境調査」、「詳細環境調査」、「モニタリング調査」の結果の概要を発表した。
 「初期環境調査」では、水質で6調査物質中2-アミノピリジンとo-アミノフェノールが、底質で2物質中2-アミノピリジンが、大気で3物質中ニトロメタンが検出された。
 「詳細環境調査」では、水質で11物質中2,4-ジニトロフェノール、トリメチルベンゼン、ヒドロキノン、2-ブテナール、フルタミドが、底質で1物質中ジイソプロピルナフタレン類が、生物で3物質中クロロベンゼン、ジイソプロピルナフタレン類、2,4-ジニトロフェノールが、大気で5物質中クメン、クレゾール類、ジイソプロピルナフタレン類、1,2,3-トリクロロプロパンが検出された。
 また「モニタリング調査」では、従来から調査しているPCB等11物質の濃度は、水質、底質、大気とも漸減又は横這いであり、PFOSとその塩を含む新規POPs条約対象物質等については、水質で4調査物質中3物質、底質では4物質全て、生物と大気では各3物質全てが検出された。
 これらの結果の詳細は、「22年度版 化学物質と環境」として環境省から公表される予定であるが、
調査対象物質の多くが検出され、人口密集地帯近傍でのPOPs濃度も高めで推移していることなどから、多くの化学物質が環境を汚染し続けているといえる。このような状況の改善には、残留性が高めの化学物質の排出について、今まで以上に厳しい対応が必要であろう。(文責:浦野 紘平)

環境省が「排出水及び地下浸透の規制項目追加等について」意見募集
 環境省では、「水質汚濁防止法に基づく排出水の排出、地下浸透水の浸透等の規制に係る項目追加等について」、1月24日まで意見を募集した。これは、平成21年11月30日に、1,4-ジオキサン、塩化ビニルモノマー、1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレンの公共用水域と地下水の環境基準が追加又は変更されたことに伴うものであり、検討中の1,4-ジオキサン以外の3項目についての規制案に対する意見募集である。
 塩化ビニルモノマーと1,2-ジクロロエチレンについては、現時点では排水規制を行う必要性は認められないが、特定施設設置等の届出の計画変更命令等、地下浸透水の浸透制限、及び改善命令の濃度は、塩化ビニルモノマーでは0.0002mg/L以上、シスとトランスの1,2-ジクロロエチレンでは各々0.004mg/L以上とし、浄化措置命令に関する浄化基準はそれぞれの10倍とすることを提案している。
 1,1-ジクロロエチレンについては、環境基準改訂を受けて排水基準を0.2mg/Lから1mg/Lに変更するが、特定施設の設置等の届出の計画変更命令等、地下浸透制限及び改善命令の濃度は変えず、浄化基準のみ0.1mg/Lにするとしている。
 新しい情報による基準変更を速やかに行うことも重要であるが、飲用リスクを基にした水質や土壌関係の基準を全国一律とするのには問題があるので、飲用に供する可能性がない埋立地等々を考慮して、類型別に基準を考える時期に来ていると考えられる。(文責:浦野 紘平)


上記の情報をご利用になる場合は、各情報元をご確認下さい。

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