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日本の動き

エコケミストリー研究会の情報誌「化学物質と環境」RADAR に掲載した情報を紹介しています。
下記の情報をご利用になる場合は、各情報元をご確認下さい。

最新号:2017年7月号
環境省がG7ボローニャ環境大臣会合結果を公表
環境省が平成29年度版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書を公表

2017年 1月号 3月号 5月号 7月号
2016年 1月号 3月号 5月号 7月号 11月号
2011年〜2015年の日本の動き
2006年〜2010年の日本の動き
2000年〜2005年の日本の動き

2017年7月号(No.144)

 環境省がG7ボローニャ環境大臣会合結果を公表
 環境省は、6月13日に標記の会合結果を公表した。
 米国がパリ協定の離脱方針を表明する中、7ヶ国が合意したコミュニケを採択し、G7の一体感が示された。
 コミュニケは、(1)持続可能な開発のための2030アジェンダ、(2)気候変動、(3)持続可能性に資するファイナンス、(4)資源効率性、3R、循環経済及び持続可能な物質管理、(5)海洋ごみ、(6)多国間開発銀行(MDBs)と2030アジェンダ及びパリ協定の実施支援、(7)環境財政改革と持続可能な開発、(8)環境政策と雇用、(9)アフリカに関する内容であった。
 (2)気候変動に関しては、米国以外の環境大臣、環境及び気候担当の欧州委員がパリ協定を迅速に、かつ効果的に実施するという、強固なコミットメントを再確認した。米国は、強い経済と良好な環境の両方を確保するという国内の優先順位と整合する形で、重要な国際的なパートナーと引き続き関わっていくとして、コミュニケの気候及びMDBsに関する部分には加わらないとした。また、(4)資源効率性・3Rの分野では、富山物質循環フレームワーク等の成果を踏まえた「ボローニャ・5ヶ年ロードマップ」を採択した。
 米国のパリ協定離脱表明は大きなインパクトであったが、長期的な視点から関係各国が協調を強く表明したことに意味があると考えられる。一方、出遅れた日本に、どのような貢献ができ、今後、どのような立場を築いていくのか注目される。(文責:浦野 真弥)

 環境省が平成29年度版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書を公表
 環境省は、6月6日に平成29年度版循環型社会白書・生物多様性白書が閣議決定され、国会に提出されたことを報告している。
 持続可能な開発目標(SDGs)の採択やパリ協定の発効等、国際社会が持続可能な社会の実現に向けて動き出していることを踏まえて、平成29年度版白書では、「環境から拓く、経済・社会のイノベーション」をテーマとしている。
 総合施策に係わる第一部は、「第1章 地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)」、「第2章 パリ協定を踏まえて加速する気候変動対策」、「第3章 我が国における環境・経済・社会の諸課題の同時解決」、「第4章 東日本大震災及び平成28年熊本地震からの復興と環境回復の取組」で構成されており、第1章から第3章では、これらの背景となる状況や具体的な目標と課題などに関する国内外の動向とともに、SDGsやパリ協定の目標達成の鍵となる環境・経済・社会の諸課題の同時解決に向けた我が国の方向性や取組事例等を紹介している。
 率直な印象として、SDGsおよびパリ協定に関して、かなり強い国際協調の圧力と我が国の意志が感じられる。同時にこれらへの対策が広範囲に亘ることを踏まえて、我が国固有の状況や課題を同時に視野に入れた方向性が検討されている。包括的な対応が不得手と感じられる場面が多い日本にとって、このようなゴールを設定した対策は、環境行政の転換期になることとして注目される。(文責:浦野 真弥)


2017年5月号(No.143)

 建築物等の解体等工事における石綿の飛散防止対策に係わるリスクコミュニケーションガイドラインについての公表等
 環境省は4月28日に標記のガイドラインを公表し、「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」の改訂に関する意見募集を開始した。
 建築物等の解体等工事に伴う石綿(アスベスト)の飛散は、社会的に強い関心が寄せられており、周辺住民の不安を解消し、より安全な解体等工事を進めるために、周辺住民等との間の円滑なリスクコミュニケーションの重要性・必要性が高まっていたため、環境省は検討委員会を設置し、建築物等の解体等工事の発注者及び自主施工者に向けたガイドラインをとりまとめた。このガイドラインは、解体等工事における石綿飛散防止対策に関するリスクコミュニケーションの基本的な考え方や手順をとりまとめたもので、具体的な事例も多く記載されている。
 また、災害時においては、建物が倒壊・損壊して外部に露出することや、多数の被災建築物等の解体・補修、大量の廃棄物の処理に伴う石綿の飛散が懸念される。この災害時の石綿飛散防止対策について、大防法の改正や東日本大震災の状況を踏まえて、平成19年8月作成のマニュアルが改訂された。この改訂案では、平時の準備、応急対応、津波等により発生した混合廃棄物での留意事項などが追加されている。
 リスクコミュニケーションによって周辺住民が安心を得るため、また災害時においては作業者や住民の健康被害を避けるために、これらが有効に活用されることが期待される。(文責:浦野 真弥)

 ストックホルム条約、バーゼル条約、及びロッテルダム条約の締約国会議の結果が公表
 本年4月24日(月)〜5月5日(金)にスイスジュネーブにおいて開催された化学物質・廃棄物関連3条約の締約国会議の結果が5月9日に公表された。
 ストックホルム条約については、条約上の規制対象物質として新たにデカブロモジフェニルエーテル(デカBDE)、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)が廃絶の対象として追加され、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)が非意図的生成の削減の対象に追加されたことから、今後、国内でこれを担保するための所要の措置を講じる予定とされた。
 バーゼル条約については、電気電子機器廃棄物(E-waste)の越境移動(特に廃棄物と非廃棄物の識別)に関する技術ガイドラインについて検討を行う専門家作業グループの設置が決定されるとともに、我が国がリード国となって改定を進めてきたPCBs等廃棄物の環境上適正な管理に関する技術ガイドラインの改訂版が採択された。
 ロッテルダム条約では、カルボフラン、短鎖塩素化パラフィン、トリブチルスズ化合物、トリクロルホンの計4物質群が対象物質に追加された。
 また、条約ごとに技術的な議題などについて議論が行われた他、3条約の共通の課題である途上国及び経済移行国への技術支援、資金メカニズム、国際協力と協調等について合同で議論が行われた。
 特に電気電子機器廃棄物等の有効利用に関しては、排出者として、また情報や技術の保有者として、我が国がアジア地域で大きな役割を果たすことが期待される。(文責:浦野 真弥)


2017年3月号(No.142)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定
 標記の法律の一部を改正する法律案が3月10日に閣議決定され、第193回国会に提出される予定となっている。
 食品廃棄物の不正転売事案および鉛等の有害物質を含む電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)等の破砕や保管での火災の発生や有害物質の漏出等の問題が生じており、対応の強化が必要となっている。
 標記の法律案は、業の許可を取り消された者等が廃棄物の処理を終了していない場合に、都道府県知事等が必要な措置を講ずることを命ずることができることとし、当該事業者から排出事業者に対する通知を義務付けることとしている。また、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、電子マニフェストの使用を義務付け、虚偽記載等に関する罰則を強化するものとなっている。さらに、雑品スクラップ等の有害な特性を有する使用済みの機器の保管又は処分を業として行う者に対しては、都道府県知事への届出、処理基準の遵守等の義務付け、処理基準違反があった場合等における命令等の措置の追加等を講ずるものとなっている。その他、親子会社が廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に親子会社間で産業廃棄物の処理を行うことができることとする内容も含まれている。
 雑品スクラップを含めて規制が強化されている点は好ましい。電子マニフェスト義務化については、その活用の在り方についても議論がなされる時期にあると考えられる。(文責:浦野 真弥)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定
 3月10日に標記の法律案が閣議決定され、第193回国会に提出される予定となっている。
 この法律はバーゼル条約を担保するための国内法であるが、法制定から約25年が経過し、近年の資源循環の国際取引の増大に伴い発生した課題に対応する必要が生じてきた。この法律案では以下のような改正がなされている。
(1)「特定有害廃棄物等」の範囲の見直しとして、@輸出先国において条約上の有害廃棄物とされている物を、我が国においても特定有害廃棄物等として、輸出承認を要件化し、規制対象物を法的に明確化する。A途上国からのリサイクル等に適した廃電子基板等の輸入について、輸入承認を不要とするよう、規制対象物の範囲を見直す。
(2)特定有害廃棄物等の輸出に係る規制の適正化として、輸出先の環境汚染防止措置について環境大臣が確認する事項を明確化する。
(3)特定有害廃棄物等の輸入に係る認定制度の創設・輸入手続緩和として、輸入事業者及び再生利用等事業者の認定制度を創設し、認定輸入事業者が、認定再生利用等事業者による再生利用等のために特定有害廃棄物等の輸入を行う際の輸入承認を不要とする。
 国際的に資源の獲得競争が起こっている状況に即しており、環境汚染を引き起こす可能性の低い場合の措置であるが、有用物については左記のような事案もあることから、継続的な状況の確認も必要と考えられる。(文責:浦野 真弥)


2017年1月号(No.141)

 「今後の化学物質対策の在り方について(案)」に対する意見募集について
 環境省は1月5日から2月3日まで標記の案に対する意見募集を行っている。
 化審法については、平成23年4月の改正法の全面施行から5年が経過したことから、産構審製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築WG及び中環審環境保健部会化学物質対策小委員会において、緊急性の高い項目について検討がなされ、標記の案がとりまとめられた。
 一つは、少量新規化学物質確認制度及び低生産量新規化学物質確認制度における全国単位の製造・輸入数量の上限見直しについてである。近年、我が国の化学産業が少量多品種に移行していることを受け、同一化学物質について、複数事業者から届出・申出がなされるケースが増加している。このため、毒性審査が不要となる低生産量新規化学物質認定制度が適用できる全国合計の製造・輸入量10トンが制約となり、個社の製造・輸入量が 1トン以下であっても制約を受けることが考えられる。そこで、上限値を製造・輸入予定量から環境排出量に変更することを検討するとしている。
 もう一つは、少量であっても毒性が非常に強い新規化学物質について、現在の制度では第二種特定化学物質にも該当せず、環境排出量が非常に小さいために優先評価化学物質にも指定されない場合があることを踏まえ、このような物質について、情報伝達の努力義務、国による指導及び助言、取り扱い状況の報告要請などが提案されている。
 環境排出量は排出係数を用いて安全側で評価することを求めているが、この根拠についての情報公開も重要と考えられる。(文責:浦野 真弥)

 「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申案)」に関する意見募集の結果及び環境大臣への答申について
 環境省は昨年12月12日に標記の意見募集結果および第一次答申を公表した。
 答申では、平成21年の土壌汚染対策法の改正以降の状況や課題を踏まえた今後の在り方として、「土壌汚染調査及び区域指定」について、一時的免除中や施設操業中の事業場での土地の形質変更や搬出の規制などについて方向を示している。さらに、一定規模以上の土地の形質変更の際の土壌汚染状況調査に関する手続きの迅速化、届出対象範囲と調査対象深度の適正化、特定有害物質が地下水に到達しうる範囲の設定、飲用井戸の把握等や、臨海部の工業専用地域の特例として新区域を設定することなどが示されている。
 また、「要措置区域等における対策及び汚染土壌処理施設における処理」について、措置内容の確認が行われていないケースへの対応や区域指定解除情報の記録、要措置区域内の非汚染土壌を搬出するための認定調査の合理化、自然由来・埋立材由来の基準不適合土壌の取り扱いなどが示されている。
 全体的には過剰な対応を避け、リスクに応じた管理を促すと共に、不適切な扱い・措置等による汚染拡大を防止する内容となっており、科学的な視点からは適切に思われるが、リスクの評価方法や評価結果については、今後も汚染地の地方自治体や周辺住民の理解を求めていく必要があると思われる。(文責:浦野 真弥)


2016年11月号(No.140)

 PCB廃棄物の早期処理に係わる広報について−処理の期限まで最短で500日−
 環境省は11月15日に標記の広報内容等について公表した。
 ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物については、法律で定められた期限内に処理することが求められている。特に高濃度PCB廃棄物は、地域ごとに異なる計画的処理完了期限が定められており、最も早い地域では平成29年度末までにJESCOに処分委託することが求められている。
 環境省は、11月16日が期限まで500日となることを一つの機会と捉え、関係省庁及び都道府県市のSNSなどの広報ツールを活用し、高濃度PCB廃棄物の一刻も早い処理の達成に向けた一斉広報を展開するとしている。
 具体的な取り組みとして、(1)PCB早期処理情報サイトの開設、(2)PCB廃棄物の早期処理に向けたパンフレット[PDF]の改訂、(3)関係省庁および都道府県市によるPCB廃棄物の早期処理に係る一斉広報、を挙げている。これらのホームページやパンフレットでは、制度の説明や種々の廃棄物の汚染判断の仕方、問い合わせ先などがまとめられている。
 PCB廃棄物については、未だに処理制度や保有機器の取り扱いについて関係者の理解が十分に進んでいるとはいえないと感じられる点がある。今後も情報を更新、発信していくとのことであるが、これらによって、より積極的、かつ合理的な処理が進むことを期待したい。(文責:浦野 真弥)

 残留性有機汚染物質検討委員会第12回会合(POPRC12)の結果について
 環境省は9月27日に標記の会合の結果を公表した。
 9月19日から23日にかけて、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約の規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第12回会合がイタリアのローマで開催された。そこでは、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)以外の塩素化パラフィンに混入するSCCPの低減のための規制の必要性と共に、SCCPを条約上の廃絶対象物質に追加することをCOPに勧告することを決定した。また、SCCPは難燃剤や可塑剤、金属加工油剤として使用されており、途上国における必要性が明確にされれば特定の用途についての適用除外を設けることもあるとされた。なお、我が国ではSCCPは化審法の第一種監視化学物質に指定されている。
 さらに、ジコホル(化審法第一種特定化学物質指定済)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質について、規制対象物質とする必要性の検討を進めることが決定された。
 その他、デカブロモジフェニルエーテル(DBDE)の個別の適用除外に関する検討、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)の意図的でない生成による放出の削減に関する検討、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)代替ガイダンスの改訂、臭素化ジフェニルエーテルの個別の適用除外の見直しに関する報告書内容の吟味などが行われた。これらについて、日本の適切な対応が望まれる。(文責:浦野 真弥)


2016年7月号(No.138)

 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画(改定案)等」に対する意見募集について
 環境省は7月14日に標記の国内実施計画(改定案)等を公開し、意見募集を開始した。
 ストックホルム条約に基づいて、我が国では国内実施計画が作成、改訂されてきた。今回、平成25年4月から5月に開催された第6回締約国会議において対象物質として追加が決定したヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)の効力が発効したことを受け、関係省庁連絡会議において、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画(改定案)」が取りまとめられた。また同時に、国内実施計画の実施状況を点検し「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画の点検結果(案)」が取りまとめられた。
 国内実施計画(改定案)では、2015年5月の第7回締約国会議で附属書への追加が決定されたペンタクロロフェノール又はその塩若しくはエステル、ポリ塩化ナフタレン及びヘキサクロロブタジエンを含めた対象物質についての国内状況や講じた施策の有効性の評価と課題、排出量削減への取り組みなどが整理、記載されている。
 PCBのように現在処理の過程にある物質から、HBCDのように今後排出が増加すると見込まれる物質、および今後新たに追加される物質などの残留性有機汚染物質は、身近に使われている物質も多いことから、国民の理解を進めながら、着実な廃絶、排出量削減がなされることが望まれる。(文責:浦野 真弥)

 福井県の事業場における膀胱がん発症に係る調査結果について
 厚生労働省は6月1日に標記の調査結果を公表した。
 厚生労働省では、これまでにも膀胱がんの原因と考えられたオルト-トルイジンを使用している事業場において同様の健康被害が生じていないかなどの調査を行い、その結果を示していたが、今回の調査結果は、(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所に委託した原因調査に関するものとなっている。
 調査では、事業場、労働者に対してヒアリングを実施し、労働者に保護具を着用させた上で過去の使用状況を再現して、オルト-トルイジン、アニリン、2,4-キシリジンの作業環境濃度、個人曝露量、尿中オルト-トルイジン、保護具の汚染濃度等の測定を行い、過去の曝露量を推定している。
 これらの調査、測定の結果、オルト-トルイジンを含む調査物質の経気道曝露量は少ないと推察され、作業に使用していたゴム手袋をオルト-トルイジンを含む溶剤で洗浄し、繰り返し再使用していたこと、作業に伴って直接接触する場合があったこと、洗浄を速やかに行わなかったことなどで、長期間にわたって経皮吸収された影響が強いと推定している。
 有機溶媒については、揮発と経気道曝露に注意が払われているが、今回のケースのように、取り扱い方によっては、経皮曝露により被害が生じる可能性があることを十分に理解しておくことが必要と考えられる。(文責:浦野 真弥)


2016年5月号(No.137)

 G7富山環境大臣会合の結果について
 環境省は5月16日に「G7富山環境大臣会合の結果について」を公表した。この会合では、東日本大震災と福島第一原発事故により被災した地域における環境回復及び復興の進展の現状説明等がなされた後、(1)持続可能な開発のための2030アジェンダ、(2)資源効率性・3R、(3)生物多様性、(4)気候変動及び関連施策、(5)化学物質管理、(6)都市の役割、(7)海洋ごみについて議論され、その結果がまとめられた。
 この中で、資源効率性・3Rについては率先して取り組み、経済成長と天然資源利用との分断(デカップリング)を促進することで一致し、さらに共通のビジョン、G7各国による野心的な行動、グローバルな取組の促進、着実なフォローアップを含む「富山物質循環フレームワーク」が採択された。また、同日に環境省から、資源効率性の向上がいかに経済成長や開発に寄与し、世界の物質、エネルギー、バイオマス、水の使用量や環境影響を低減させるかの展望を示したUNEP国際資源パネルの統合報告書、資源効率性の向上を実現するために取るべき主な政策アプローチや手法等を示したOECD政策ガイダンスが公表された。
 化学物質管理に関しては、水銀に関する水俣条約の早期発効と締約国による効果的な実施を引き続き支持することや、子どもの環境保健に関する科学的知見の共有を推進することなどで一致した。 全体的に国際的な課題に対して協調を図りながら対応していくことを強く示したものとなっている。(文責:浦野 真弥)

 日ASEAN化学物質管理データベースの本格運用開始
 経済産業省は5月11日に、AMEICC(日ASEAN経済産業協力委員会)の枠組みを活用して、ASEAN各国と日本の化学物質管理についてのデータベースを構築し、4月28日より独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)にて本格運用を開始したことを公表した。
 このデータベースには、日本とASEAN各国の政府から直接提供された化学物質関連規制情報が収載されている。トップページ及び一部の検索画面は、日本語及びASEAN各国言語にも対応しており、CAS番号や物質名、分子式などから検索することで、特定の化学物質に対する各国の規制状況を調べることができる。また、各国の法律における規制物質の一覧や法律の概要を知ることもでき、GHS分類結果や参考SDS等も入手できる。その他、関連情報へのリンクも用意されている。
 今まで必ずしも入手が容易でなかったASEAN各国の規制情報に無料で、誰でもアクセスできるようになり、日本とASEAN各国の規制の透明性が高まり、日本とASEAN内外の化学産業のコンプライアンスに関するリスク低減への貢献や、将来的には規制制度の調和への貢献が期待される。
 今後もユーザビリティなどの改善が行われることが望まれるが、このような他国の規制情報等は海外で事業展開する際に極めて重要と考えられる。今後、ASEANのみならず他の先進諸国を含めて国際的な情報が整理され、活用しやすくなることを期待したい。(文責:浦野 真弥)


2016年3月号(No.136)

 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定
 環境省はポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案が平成28年3月1日に閣議決定さたことを同日公表した。
 平成13年にPCB特措法を制定し、国が中心となって、JESCOの全国5か所の事業所に処理施設を整備し、高濃度PCB廃棄物の処理を実施してきた。事業所ごとの計画的処理完了期限は、地元との約束で、最短で平成30年度末となっているが、処分委託しない事業者や使用中のPCB製品も存在し、その達成が危ぶまれる状況となっている。本法律案は、こうした状況を踏まえ、期限を遵守して一日でも早く確実に高濃度PCBの処理を完了するために必要な制度的措置を講じるものである。
 法律案の概要は、(1)PCB廃棄物処理基本計画の閣議決定、(2)高濃度PCB廃棄物の処分の義務付け、(3)報告徴収・立入検査権限の強化、(4)高濃度PCB廃棄物の処分に係る代執行となっている。
 具体的には、保管事業者に計画的処理完了期限より前の処分を義務付け、義務違反に対して改善命令ができると同時に命令違反に対して罰則を科すものとなっている。また、PCB特措法に基づく届出がなされていない廃棄物等が一定量存在するとの調査結果等を受けて、都道府県等による事業者への報告徴収や立入検査の権限を強化し、保管事業者が不明等の場合にも、都道府県等が処分に係る代執行を行うことができる内容となっている。
 高濃度PCB廃棄物の不適正な取り扱いにより、環境汚染等を引き起こしてきた側面があることから早期の適正処理が望まれる。(文責:浦野 真弥)

 家庭用品規制法における特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料の規制が開始
 厚生労働省は、平成28年4月1日から、有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(家庭用品規制法)において「特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料」を含む家庭用品の販売規制が始まることを改めて通知し、今回改正された規制の内容を紹介している。
 アゾ染料は種類も多く安価であることから、広く社会で用いられているが、規制対象となる有害物質は、皮膚表面や腸内細菌、肝臓等で還元され、発がん性、あるいはその疑いがある物質(特定芳香族アミン)を生成する可能性があるものである。すなわち、省令で定める試験法でベンジジンなど24種類の特定芳香族アミンを生成するものとなっており、規制濃度は特定芳香族アミンとして30mg/g以下となっている。また、規制対象となる家庭用品は、特定芳香族アミンを生成するアゾ染料を使用している家庭用品のうち、下着、靴下、中衣、外衣、手袋、寝具などの14繊維製品と、帽子、手袋などの6革製品となる。規制対象部位は、通常の使用形態で直接肌に接触する部分のみで、例えばコートの場合、襟元と袖口のみとなる。
 EU等では既に規制が行われており、また過去に実施した国内の実態調査においても、市販製品から検出、あるいは海外基準の超過が見られていた。使用範囲が広く、化学的変化によって生成する物質の規制であることから、対応が後手に回る可能性も考えられる。関係者への継続的な周知が必要と考えられる。(文責:浦野 真弥)


2016年1月号(No.135)

 環境省が化学物質の環境リスク初期評価(第14次とりまとめ)の結果を公表
 環境省は中環審環境保健部会化学物質評価専門委員会の審議を経た上で「環境リスク初期評価(第14次とりまとめ)」を平成27年12月24日に公表した。
 環境リスク初期評価は、多数の化学物質の中から相対的に環境リスクが高い可能性がある物質を、科学的な知見に基づいてスクリーニング(抽出)するための最初のステップである。「詳細な評価を行う候補」及び「関連情報の収集が必要」と評価された物質については、関係部局等との連携と分担の下で、より詳細なリスク評価の実施、規制法に基づく排出抑制、継続的な環境濃度の監視、より高感度な分析法の開発等を図ることとしている。
 今回、健康リスクと生態リスクの双方を対象とした環境リスク初期評価が15物質、生態リスク初期評価が7物質について取りまとめられた。この初期評価の結果、詳細な評価を行う候補として、健康リスク初期評価で1,1-ジクロロエチレン、生態リスク初期評価でセレン及びその化合物、N,N-ジメチルオクタデシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミンが抽出された。そのほかに関連情報の収集が必要なものとして、健康リスク初期評価で6物質、生態リスク初期評価で6物質が抽出された。
 今回の第14次取りまとめにより、これまでに240物質の環境リスク初期評価が取りまとめられたことになるが、近年、化学物質使用に伴う健康被害や事故の事例が散見される。関係者の協力の下でリスク評価及び管理がより一層進められることが期待される。(文責:浦野 真弥)

 厚生労働省が芳香族アミンによる健康障害の防止対策について関係業界に要請
 染料・顔料の中間体を製造する事業場で、複数名の労働者が膀胱がんを発症する事案が発生したことが明らかになった。膀胱がんを発症した労働者は、オルト−トルイジンをはじめとした芳香族アミンを取り扱う作業に従事していたことが分かってるが、現在、作業実態や発生原因について労働局・労働基準監督署及び(独)労働安全衛生総合研究所において調査を行っている。これらを踏まえ、平成27年12月18日、厚生労働省は予防的観点から関係業界団体に対して、芳香族アミンによる健康障害の防止対策の適切な実施を要請した。
 当該事業場で取り扱われている芳香族アミン5物質については、労働安全衛生法令では製造等の禁止や、管理濃度を定めた上での局所排気装置の設置・健康診断の実施等は義務付けられていないが、これらの物質を取り扱う事業者には、有害性等を確認するよう努めるほか、空気中の濃度が有害な程度にならないようにするため発散源を密閉する等により適切に管理しながら使用することなどが求められている。また、譲渡提供時の危険有害性や取扱い上の注意事項等を記載した安全データシートの提供が義務付けられている。
 法的に強い規制がされていない化学物質の中にも適切な管理を行わなければ健康被害をもたらす可能性がある化学物質が多数含まれている。労働安全衛生法改正もあり、安全データシートの確認、職場環境などの化学物質リスクを基本から見直す時期にあると考えられる。(文責:浦野 真弥)


上記の情報をご利用になる場合は、各情報元をご確認下さい。

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