本サイトで公開する情報の根拠となる大気または水域への排出量、土壌への排出量・事業所内埋立量(農薬は使用量)、下水道への放出や廃棄物としての搬出などの移動量、および農薬の使用量(土壌への排出扱い)は、国から公表された都道府県別、物質別の値(
http://www.env.go.jp/chemi/prtr/result/)です。
この莫大なデータを詳細に調べれば、各届出事業所が何をどれだけ排出、移動しているかが分かります。また、各都道府県で、届出対象となっていない中小規模事業所(
裾切り以下事業所)や対象業種以外の事業所(
非対象業種)から、何がどれだけ排出されていると推計されたか、
自動車などの移動体や家庭から何がどれだけ排出されていると推計されたか、農耕地等で農薬がどれだけ使われたかの推計値などが分かります。
しかし、
知りたい都道府県での排出量、移動量や知りたい物質についての排出量、移動量については、やや分かりにくくなっています。
そこで、
全国での各物質の排出量や移動量と農薬使用量などのほかに、
各都道府県ごとの各物質の排出量や移動量と農薬使用量、および
物質ごとの各都道府県での排出量や移動量と農薬使用量などをまとめて
分かりやすく提供することにしました。
「届出事業所」からの大気及び水域への排出量は比較的信頼度が高く、削減対策を採りやすいので、事業所の所在する
市区町村別に集計しました。
一方、裾切り以下の事業所、非対象業種の事業所からの排出量や、自動車や家庭からの排出量については、大気・水域等の排出・移動先が不明であるため、また、物質ごとの推計排出量が毎年大きく変動していて信頼度が低いため、市区町村別の値は推計しないこととしました。
農薬使用量について国は、使用場所や製剤の形状等に関係なく、使用量の全量が土壌へ排出されることとしています(検疫用臭化メチルくん蒸剤は使用量の全量、青酸くん蒸剤は使用量の0.5%を倉庫業からの大気への排出に割り振ることにしています)。しかし、散布された農薬が大気や水域にどれだけ揮散、流出するかは農薬の種類・形状だけではなく、散布方法、気象条件、地理的条件などにより変化します。そのため、農薬使用量をそのまま土壌への「排出量」として取り扱うことには問題がありますので、ここでは、
農薬は「使用量」として表示することにしました。
なお、一般に農薬は、いくつかの有効成分(「原体」と言われています)を一定の割合で含む「製剤」に各メーカーが商品名を付けて販売しています。このため、PRTR対象の物質(原体)を含む製剤ごとに使用量を推算した上で、この「製剤別使用量」に、各製剤の「PRTR対象物質(有効成分)の含有率」を掛けて、「各製剤の対象物質(有効成分)換算の使用量」が計算されています。
さらに、
農薬に含まれている有効成分以外の化学物質(アセトニトリル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(C=10-14)、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、トルエン、フタル酸ジ-n-ブチル、ベンゼン、ほう素化合物、ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(C=12-15))、ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル、ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル)についても、溶剤類は届出排出量に比べてごく少量であること、その他の物質についても少量のものが多く、使用後の大気と水域への排出率が不明であるために、事業所からの排出量と加算できないことから、
考慮しないことにしました。
また、平成14年度から国が推計を始めた
家庭内や側溝等で使用される殺虫剤および平成15年度から国が推計を始めた
シロアリ防除剤にも、主に農薬の有効成分として使用される化学物質が含まれますが、これらについては、
別に表記しました。
排出量・移動量および農薬使用量について、以下のような情報を提供しています。
(1)全国での届出事業所からの各物質の排出・移動先別の排出量・移動量
各物質について、届出事業所からの大気への排出量、水域への排出量、土壌への排出・事業所内埋立量、下水道への移動量、廃棄物としての搬出量、およびそれらの合計量をまとめて示しました。
(2)全国での届出事業所以外からの各物質の排出源別排出量/使用目的別使用量
農薬を含む各物質について、裾切り以下の中小事業所、各種の自動車や船舶等の移動体、塗料、洗剤・化粧品等からの環境中への排出量、農薬の使用量、農業用以外の殺虫剤の使用量、およびそれらの合計量をまとめて示しました。
(3)全国での各農薬(有効成分)の使用先別使用量
各農薬(有効成分)の田、果樹園、畑、ゴルフ場、森林、その他非農耕地、家庭園芸などの使用先別の使用量、および合計使用量をまとめて示しました。
(4)全国での農業用以外の各殺虫剤(有効成分)の使用目的別使用量
各殺虫剤について、家庭衛生害虫用、輸入品等の防疫衛生害虫用、下水溝等の不快害虫駆除用、シロアリ防除用としての使用量、およびそれらの合計量をまとめて表示しました。
(5)都道府県ごとの届出事業所からの各物質の排出先・移動先別の排出量・移動量
47都道府県ごとに、各物質について、届出事業所からの大気への排出量、水域への排出量、土壌への排出・事業所内埋立量、下水道への移動量、廃棄物としての搬出量、およびそれらの合計量をまとめて示しました。
(6)都道府県ごとの届出事業所以外からの各物質の排出源別排出量/使用目的別使用量
47都道府県ごとに、農薬を含む各物質について、裾切り以下の中小事業所、各種の自動車や船舶等の移動体、塗料、洗剤・化粧品等からの環境中への排出量、農薬の使用量、農業用以外の殺虫剤の使用量、およびそれらの合計量をまとめて示しました。
(7)都道府県ごとの各農薬(有効成分)の使用先別使用量
47都道府県ごとに、各農薬(有効成分)の田、果樹園、畑、ゴルフ場、森林、その他非農耕地、家庭園芸などの使用先別の使用量、および合計使用量をまとめて示しました。
(8)都道府県ごとの農業用以外の各殺虫剤(有効成分)の使用目的別使用量
47都道府県ごとに、各殺虫剤について、家庭用、輸入品等の防疫用、下水溝等の不快害虫駆除用、シロアリ防除用としての使用量、およびそれらの合計量をまとめて表示しました。
(9)物質ごとの各都道府県での届出事業所からの排出・移動先別の排出量・移動量
各物質ごとに、各都道府県での届出事業所からの大気への排出量、水域への排出量、土壌への排出・事業所内埋立量、下水道への移動量、廃棄物としての搬出量、およびそれらの合計量をまとめて示しました。
(10)物質ごとの各都道府県での届出事業所以外からの排出源別排出量/使用目的別使用量
農薬を含む各物質について、各都道府県での裾切り以下の中小事業所、各種の自動車や船舶等の移動体、塗料、洗剤・化粧品等からの環境中への排出量、農薬の使用量、農業用以外の殺虫剤の使用量、およびそれらの合計量をまとめて示しました。
(11)物質ごとの各都道府県での農薬の使用先別使用量
各農薬(有効成分)について、各都道府県での田、果樹園、畑、ゴルフ場、森林、その他非農耕地、家庭園芸などの使用先別の使用量、および合計使用量をまとめて示しました。
なお、排出量や使用量の表示は、
0.1kg/年の単位までとし、それら以下の場合は0.0とし、全くない場合は空欄とすることにしました。ただし、排出・移動先別や排出源別の排出量の表示は、
有効数字2桁の数字×E+n(10のn乗)とし、全くない場合は空欄とました。
これらによって、日本全体、または各都道府県内で、あるいは各化学物質が、どこから、どれだけ排出・移動されているか、使われているかなどが分かります。