毒性 |
情報提供する毒性情報の種類 | 情報源選定の基本的な考え方 | |
発がん性確度ランク | 生殖毒性確度ランク | |
変異原性確度ランク | 感作性確度ランク |
物性 |
物性の種類 | ||
化学物質の組成等に関する情報 | 組成式/ 分子量/ 金属含有率 | |
物性値についての情報 | 密度/ 融点/ 沸点/ 蒸気圧/ 水溶解度(飽和溶解度) | |
オクタノール-水分配係数(LogPow)/ オゾン層破壊係数(ODP) | ||
情報源の選定とその採用優先順 |
用途 |
全物質の用途の分類方法 | |
全農薬(有効成分)の全国での使用リスク順位と用途・適用作物等 | |
各農薬を含む製剤 |
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環境管理参考濃度 参照 |
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人に対する吸入(大気経由)毒性と経口(水経由)毒性の強さ,および水生生物に対する毒性の強さについては,それぞれ, 大気管理参考濃度 水域管理参考濃度 水生生物保護参考濃度および毒性重み付け係数のところに説明してありますのでご覧下さい。人に対して毒性を示す確からしさ,すなわち,毒性確度情報を提供した発がん性,生殖毒性,変異原性,感作性(アレルギー誘発性)について以下に簡単に説明します。 なお,毒性確度ランクと毒性の強さとは直接関係はないことに注意が必要です。 |
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発がん性とは | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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発がん性確度の情報源とその優先順 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表8
発がん性ランクに用いた情報源とその入手先 |
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表8に示した機関では,人に対する証拠の程度から発がん性物質を表9に示すように分類しています。 表9 7つの機関の発がん性分類の比較 |
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各機関の分類は,微妙に違いますが,基本的には,「I.人に対して発がん性がある物質」,「U.人に対して発がん性があるとみなすべき物質」,「V.発がん性の可能性がある物質」,「W.発がん性が分類できない物質」,「X.発がん性がない物質」に分けられています。 |
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発がん性確度ランクの決め方 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表10 発がん性確度ランクの決め方 |
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生殖毒性とは | ||||||||||||
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生殖毒性確度の情報源とその優先順 | ||||||||||||
人に対する生殖毒性の確からしさの評価を行っている信頼できる機関は,表11に示した欧州共同体(EU)だけです。 EUでは,人に対して生殖毒性があると推定される証拠の程度や影響の種類に応じて,R60 Cat.1,R61 Cat.1,R60 Cat.2,R61 Cat.2,R62 Cat.3,またはR63 Cat.3に分類表示するように指定しています。ここでは,これを国際的な機関で評価された生殖毒性の情報として利用することとしました。 なお,今後,内分泌撹乱物質の研究が進めば,それらの情報から生殖毒性物質に追加される物質が増えてくるものと考えられます。
表11 生殖毒性ランクに用いた情報とその入手先 |
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生殖毒性確度ランクの決め方 | ||||||||||||
表12 生殖毒性ランクの決め方 |
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変異原性とは | ||||||||||
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変異原性確度の情報源とその優先順 | ||||||||||
表13 変異原性ランクに用いた情報源とその入手先 |
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人に対する変異原性の確からしさの評価を行っている国際的な機関は欧州共同体(EU)だけです。EUでは,人に対して影響があると推定される証拠の程度に応じてR46のCat.1,R46のCat.2またはR40のCat.3に分類表示するよう指示しています。 |
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変異原性確度ランクの決め方 | ||||||||||
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感作性(アレルギー誘発性)とは | |||||||||||||
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感作性確度の情報源とその優先順について | |||||||||||||
表14 感作性ランクに用いた情報とその入手先 |
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欧州共同体(EU)では,気道感作性と皮膚感作性の可能性のある物質をR42とR43に分類表示するよう指示しています。R42は人に対して明らかに気道感作性がある物質,R43は動物実験で皮膚感作性があることが認められた物質とされています。 |
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感作性確度ランクの決め方 | |||||||||||||
表15 感作性ランクの決め方 |
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化学物質の基本的な性状を示す値を物性値といいます。 |
組成式 |
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分子量 |
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金属含有率 |
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密度 |
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融点 |
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沸点 |
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蒸気圧 |
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水溶解度(飽和溶解度) |
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オクタノール-水分配係数(LogPow) |
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オゾン層破壊係数(ODP) |
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化学物質の物性に関する情報源は複数あり,本来唯一であるはずの値が情報源によって異なることも多くあります。このため,情報源を選択する際の優先順位を決めておく必要があります。ここでは,信頼できる国際機関や学会の情報を優先し,次に,国レベルで作成されている資料集やデータベース,それもなければ公共的機関で作成している資料集やデータベースを用い,これらも全くない場合にのみ歴史のある商用データベースの値を吟味して用いることとしました。
表16 物性値の情報源と利用した物性情報の種類 |
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これらの情報源のうち,国際化学物質安全性カード(ICSC)や,米国環境保護庁(U.S.EPA)のEPI Suiteの実測推奨値(EPI実測値)を優先し,さらに,国連環境計画(UNEP),米国化学会のChemical Abstracts Service(CAS),英国王立化学会のDictionary of Substances and Their Effects(DOSE)と英国作物保護会議のThe e-Pesticide Manual(Pest M),日本化学会の「化学便覧」,U.S.EPAのHealth Advisories (HA)と Document(TRI),経済産業省の化審法データ集(化審法),厚生省の毒劇物の手引(毒劇手引),日本植物防疫協会の農薬ハンドブック(農薬HB)の順で採用し,これらがない場合には,Cambridge Soft社の化学物質の検索エンジンThe Chem Finder Web Server(Chem F)の値,およびSaugeten Research Lab.(SRL)から市販されているPowデータベースを利用しました。ただし,一部の物質の分子量は,組成式から計算しました。 |
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PRTR対象物質の用途については,環境省や経済産業省およびそれらの関係団体,あるいは地方自治体のホームページなどに掲載されています。また,化学工業日報社発行の「14303の化学商品」などにも掲載されています。 しかし,用途の分類の方法が非常に混乱していて分かりにくくなっており,誤りも多数見受けられます。 たとえば,「界面活性剤」と界面活性剤を含む「合成洗剤」が区別されずに混ざった記載がされていたり,農薬の「有効成分(原体)」として使われている物質と農薬の「合成原料」として使われている物質の両方の用途が「農薬」と記されていたり,染料そのものではなく,染料の合成原料となる物質の用途が「染料」と記されていたり,プラスチックの可塑剤の用途が「可塑剤」,「プラスチック」,あるいは「プラスチック添加剤」と混ざった記載がされていたり,「合成繊維の原料」の用途を「プラスチック」,「繊維」,「衣料品」と混ざった記載がされていたりします。また,ただ「合成原料」とだけ記されている物質もあったりするなど,非常に混乱していて,正しく整理されている情報はありません。 すなわち,(a)その物質が合成原料として使われる工業用基礎材料や副資材名,(b)製造・加工時に添加または処理される工業基礎材料名,(c)その物質の持つ機能を示す剤名,(d)その物質が使われている最終的製品名などが明確に区別されずに表記されており,非常に分かりにくくなっています。 そこで,ここでは,農薬以外の物質で工業用基礎材料・副資材として使われる物質については,以下のように,使用目的を明確に表記するように統一し,界面活性剤や可塑剤,安定剤などの機能では表記しないことにしました。
また,最終工業製品に加えられている物質については,以下のように,用途を工業製品名で表記するように統一しました。
さらに,作りたくないのに出来てしまう物質(副生成物質または非意図的生成物質という)については,以下のように排出源別に表記しました。
一方,農薬については,(a)「殺菌剤」,(b)「殺虫剤」,(c)「除草剤」などの機能で用途を表記することにしました。 |
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全国及び各都道府県での毒性重み付け使用量順位 |
毒性重み付け農薬使用量 参照 |
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著作権:エコケミストリー研究会/横浜国立大学 環境安全管理学研究室 |