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人の健康保護のための大気管理参考濃度 | ||
吸入長期毒性とは | 情報源とその採用優先順位 | |
人の健康保護のための大気管理参考濃度の算出方法 |
人の健康保護のための水域管理参考濃度 | ||
経口長期毒性とは | 情報源とその採用優先順位 | |
人の健康保護のための水域管理参考濃度の算出方法 |
水生生物保護のための水域管理参考濃度 | ||
情報源とデータの採用手順 | ||
水生生物保護のための水域管理参考濃度の算出方法 |
届出事業所からの毒性重み付け排出量 | ||
計算方法 | 毒性重み付け排出量の提供情報 |
毒性重み付け農薬使用量 | ||
計算方法 | 農薬使用量の提供情報 |
PRTR対象物質について,単に排出量や農薬使用量を考えるだけでなく,行政や事業者が大気や水質を測定した値を評価したり,事業者が排ガス(周辺大気)や排水(周辺河川等)を自主的に管理したり,地元自治体や周辺住民とのリスクコミュニケーションを行ったりする際には,人の健康あるいは水生生物(生態系)への影響を考えて,ほぼ安全と考えられる「環境管理の目標濃度」を得ることはとても重要です。しかし,PRTR制度は,規制ではなく,毒性の強さについての情報が十分でない物質についても自主管理を進めることが特徴ですので,354種類のPRTR対象物質すべてについて,法律で環境基準値を決めることは基本的に困難です。 そこで,本ホームページでは,PRTR対象物質の選定にも利用された横浜国立大学大学院 環境安全管理学研究室が長年蓄積してきたデータベース,すなわち,信頼性の高い国際機関や日米の政府機関,または信頼できる専門家機関等による定量的な毒性情報等を収集した結果から「人の健康保護のための大気管理参考濃度」,「人の健康保護のための水域管理参考濃度」,「水生生物保護のための水域管理参考濃度」の3種類の「環境管理参考濃度」および「環境管理参考濃度」の逆数である「毒性重み付け係数」を算出して提案することにしました。 ただし,これらは現時点で入手可能な,できるだけ信頼できる情報を基にして提案した値ですが,この濃度を越えたら直ちに被害がでると言うことではありませんし,逆に,この濃度以下にすれば絶対に安全であるということでもありません。また,基準値等の追加や変更などの毒性関連情報の充実によって変化することがある値です。 |
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毒性重み付け排出量/毒性重み付け農薬使用量を提案する理由 | |
国や都道府県で公表しているPRTRデータは,排出量(農薬は使用量)と廃棄物等としての移動量です。しかし,PRTR対象物質には,毒性が大きく異なるものがありまから,同じ量が排出または使用されても悪影響のでる可能性(リスク)は大きく異なります。 排出または使用された化学物質のリスクを正しく評価するためには,毒性の強さとともに,各地域での環境中の濃度から摂取量を知る必要があります。 このため,環境中の化学物質の濃度を様々な環境挙動モデルで計算することが試みられています。しかし,届出された排出量は,年間の総量であり,計算に必要な排出ガスあるいは排水の濃度と量の時間変化,排出源の位置や形状などのデータはありません。また,使用された農薬が大気や水域にどれだけ揮散,流出するかは農薬の種類はもとより,その使用方法,あるいは地形や気象によって変化し,正確には分かりません。さらに,市区町村ごとの気象データも揃っていません。したがって,多くの仮定や近似をもとにした仮想的な濃度は計算できても(このような計算結果をコンピュータ画面で見せあられると真実であるかのように思いがちですので注意してください),環境中濃度を正確に予測することは不可能です。 一方,ある量の化学物質が排出されたり,農薬が使用されると,発生源近くでの濃度は,必ず排出量や農薬使用量に比例します。したがって,リスクは排出量または農薬使用量と毒性の強さに比例すると考えられます。 そこで,届出事業所からの排出量,または農地等での農薬の使用量を,環境管理参考濃度で割り算し(環境管理参考濃度が小さいほど毒性が強いと考えられるので,逆数を「毒性重み付け係数」と定義し,この値を掛けてもよい),「毒性重み付け排出量」や「毒性重み付け農薬使用量」を求め,都道府県や市区町村別の大きさと,それらを大きくしている原因物質を表示することによって,各事業所(者)や地方自治体,あるいはNGO等が,どの地域で,どの物質について,優先的に発生源や周辺汚染の調査,および対策を行ったら良いかを判断しやすいようにしました。 なお,裾切り以下の事業所,非対象業種の事業所からの排出については,推計排出量の信頼性が低いこととや個別の排出源や大気・水域等の排出先が不明確であるため,毒性重み付け排出量は計算しませんでした。また,自動車や家庭からの排出については,推計排出量が自動車走行量や所帯あるいは人口や下道未普及率などに比例すること,自動車本体の改善やライフスタイルの改善など以外に削減対策がとりにくいことなどから,各都道府県での毒性重み付け排出量のみ提供し,各市区町村での値は提供しないことにしました。農薬の使用量についても,市区町村への割り振りが非常に大変であること,削減のためには農作物の転換,農耕地の削減,低農薬・無農薬栽培の普及等以外には削減対策がとりにくいことなどから,各都道府県での毒性重み付け農薬使用量のみを提供し,各市区町村での値は提供しないことにしました。 |
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考慮した毒性の種類 | |
毒性の強さとしては,「人の健康に与える悪影響の強さ」と「生態系で影響を受けやすい水生生物に与える悪影響」の強さを考えました。 人の健康に与える悪影響の強さの情報は,人が化学物質を取り込む経路が,主に呼吸(吸入)と飲料水や食物(経口)ですので,吸入毒性と経口毒性について考えました。なお,これらの毒性には低濃度で長期間取り込んだ場合に問題となる長期毒性(発がん性や慢性毒性等)と事故等で短時間に取り込んだ場合に問題となる短期(急性)毒性とがありますが,PRTRでは日常的な環境のリスクを考えるので,長期毒性のみを考えて,大気と水域の管理参考濃度(毒性重み付け係数)を提案しました。 なお,短期毒性については毒物・劇物の指定がされているか否かの情報だけを提供することにしました。また,これらの毒性の強さに関する情報(毒性重み付け係数)のほかに,発がん性,生殖毒性,変異原性,感作性(アレルギー誘発性)などの毒性があることは分かっていても,これらの毒性の強さが求められていない物質については,人に対して毒性を与える確からしさ(毒性確度情報)をランク分けして分かりやすい棒グラフで示すことにしました。 |
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毒性情報源選定の基本的な考え方 | |
現在,毒性に関する情報は,各種の国際機関,国,地方公共団体,学会,その他の公共機関,およびデータベース業者などの様々な情報源から発信されています。しかし,情報源によって毒性データやそのデータの評価結果が大きく異なることがあり,信頼性の不明確な情報を利用すると,誤った判断をしてしまう恐れがあります。このため,信頼性の不明確な情報源は使用せず,信頼性の高い情報源のみから情報を収集すること,および信頼性のより高い情報から優先的に利用することが極めて重要であると考えました。 そこで,横浜国立大学大学院 環境安全管理学研究室とエコケミストリー研究会では,専門家の議論を経た信頼性が高い情報源として,(a)日本の政府機関,(b)国際機関,(c)米国の政府機関,(d)上記以外の信頼できる学会等の専門家機関からの情報を収集して用いることとしました。すなわち,全体の信頼性を失わないために,これら以外の都道府県あるいは米国の州などの情報や商業データベース等の情報は利用しないことにしました。 ここで,日本以外に米国の政府機関のみを選定した理由は,米国が世界的に最も毒性情報が充実している国であり,他の国については公表情報が少なく,採用,不採用の判断や情報の更新が難しいためです。 ただし,水生生物に対する毒性情報は,(a),(b),(c)からの情報にも信頼性が低い情報が混在していますので,横浜国立大学大学院 環境安全管理学研究室が,信頼性の低いデータを除き,さらに日本,米国,英国,ドイツ,カナダの水生生物保護のための水質基準を追加して整理,解析した値を採用しました。 なお,日本の基準値や指針値等は最新の値,それら以外は2006年9月現在の値を使用しました。 |
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吸入長期毒性とは | ||||||||||||||||||||||||||
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情報源とその採用優先順位 | ||||||||||||||||||||||||||
大気管理参考濃度を算出するための吸入長期毒性は,表1に示すような情報源をもとに情報の優先順位を下図のように決定することにしました。 |
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すなわち,日本の大気環境基準値や大気環境指針値を最優先し,次に,世界保健機関(WHO)の発がん性物質以外についての大気質ガイドライン値を採用するか,もしくは発がん性物質に関するユニットリスク,すなわち,1µg/m3の空気を一生涯(70年間),1日に20m3吸い続けたときの発がん確率を採用することにしました。なお,米国の国家環境大気質基準値もありますが,日本の大気環境基準にある項目しかないため採用しないこととしました。また,これらの値がない場合には日本の室内濃度の長期指針値を採用することとしました。 |
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表1 大気管理参考濃度を算出するために利用した情報源 |
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経口長期毒性とは | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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情報源とその採用優先順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
水域管理参考濃度を算出するための経口長期毒性は,表2に示すような情報源をもとに採用の優先順位を下図のように決定することにしました。 |
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すなわち,日本の健康の保護に関する水質環境基準値または要監視項目の指針値を最優先し,次に日本の健康保護に関する水道水質基準値または監視項目の指針値を採用しました。その次に,世界保健機関(WHO)が国際的な議論の上で示している飲料水水質ガイドライン,それらがない場合には米国の安全飲料水基準を採用することにしました。 |
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表2 水域管理参考濃度を算出するために利用した情報源 |
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人の健康保護のための水域管理参考濃度の算出方法 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ここで,気化しやすい物質は取扱中に揮発して大気環境中に排出されやすいことになり,水経由摂取割合Xwが小さくなります。ここで,環境水中と大気中との間に気液平衡関係が成立しているとみなしたとき,水からの気化しやすさはヘンリー定数H(−)という値で示されます。また,生物濃縮性の高い物質は魚介類に蓄積されやすいためXfが大きくなります。生物濃縮性を表す値には生物濃縮係数BCFという値がありますが,BCFの実測値は非常に少ないため,BCFの実測値がない物質についてはオクタノール-水分配係数PowからBCFを推算するのが一般的です。そこで,(汚染魚介類中濃度mg/kg)=(生物濃縮係数BCF)×(水中濃度mg/L),
(大気濃度mg/m3)=1,000(ヘンリー定数H)×(飲料水濃度mg/L)とみなし,1日の飲料水摂取量は2L/d,1日の呼吸量は20m3/d,農薬以外の化学物質の食品からの摂取は1日に0.1kg/dの汚染魚介類から摂取すると仮定し,吸入での吸収率と経口での吸収率は等しいと近似して,水経由摂取割合Xwを概算してみました。その概算結果をもとに,残留性農薬以外の有機化合物の水経由摂取割合Xwは,ヘンリー定数とBCFまたはLogPowとから,表3-aに示すように,0.01(1%)を最小とし,0.03(3%),0.1(10%),0.2(20%),0.5(50%)の5段階にすることにしました。 |
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水生生物に対する毒性とは | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
野生生物のうちでも,特に,藻類,甲殻類,魚類などの水生生物は有害物質の影響を直接受けます。藻類は二酸化炭素などの無機物から生育する基礎生物であり,甲殻類などの動物プランクトンや小動物,魚類などの餌となります。動物プランクトンや小動物は,魚類や鳥類の餌になり,魚類は鳥類や獣だけでなく,人間の食糧になります。このため,国際的に,水生生物に対する毒性物質を管理することは,森林保護とともに,生態系の保護にとって最も重要な事項とされています。 水生生物に対する毒性については,様々な生物種や試験条件での値が報告されています。また,OECDやEUでは,水生生物などについての毒性試験方法と毒性の強さに応じた化学物質の管理の方法が示され,多くのOECD加盟国では,水生生物毒性をもとにした化学物質管理が広く行われています。たとえば,米国,英国,ドイツ,カナダ等では水生生物保護のための水環境基準が定められています。これに対して,日本ではあまり進んでいないので,2002年にOECDから生態系保護を考えた化学物質管理を進めるように勧告されてしまいました。OECD(http://www.oecd.org/documentprint/0,2744,en_2649_34377_2348862_1_1_1_1,00.html)やU.S.EPA(http://www.epa.gov/docs/OPPTS_Harmonized/850_Ecological_Effects_Test_Guidelines/)によると,食物連鎖上で最も重要な基本的生物であり,感受性が高く,比較的容易に飼育や管理ができ,また,代謝などの機能が異なる生物として,食物連鎖の最下位に位置する藻類について,増殖速度が72時間または96時間で半分になる濃度(EC50),次に位置する甲殻類節足動物のミジンコ類の半数が48時間で泳がなくなる濃度(EC50),さらに,その上に位置する魚類の半数が96時間で死亡する濃度(LC50)を中心に試験することを推薦しています。このため,これらの短期毒性試験データが世界的に最も多く報告されており,日本でも同じ試験を行うようになっています。また,国際的にこれらの水生生物に対する短期毒性データをもとにした有害化学物質の管理が行われています。 そこで,これらの情報を用いて水生生物保護を考えた水域管理参考濃度を定めることとしました。 なお,上記の生物に対する無影響濃度(NOEC)を使った評価も報告され,一部で化学物質管理に利用されています。しかし,「無影響」の定義が不明確であり,また,試験されている生物数やデータ数も少なく,信頼性の高い値が得にくいので,ここではEC50やLC50のデータを利用し,NOECのデータは利用しないこととしました。 |
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情報源と毒性データの採用手順 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
情報源としては,まず,日本,米国,英国,ドイツ,カナダの水生生物保護のための水質基準値を用いました。 表4 採用した試験生物種
その上で,物質ごと,生物種ごとにデータを下図の手順で整理し,信頼度の低いデータを削除し,信頼度の高いデータのみを選びました。
すなわち,このデータベースをもとに,まず,同じ物質についての同じ生物種でのOECDまたはU.S.EPAガイドに記載されている「標準試験時間」(藻類は72時間から96時間まで,ミジンコ類は48時間,魚類は96時間)でのデータが2つ以上あるものを選び,生物の個体差や試験者および試験操作による誤差を考慮しても10倍以上は異ならないと考え,それらのデータ群の最大値と最小値のばらつき幅が10倍以内に収まっているデータを採用し,そのデータ群の幾何平均値をその物質のその生物種に対する「毒性代表値」としました。 |
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水生生物保護のための水域管理参考濃度の算出方法 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
まず,日本の水生生物保護のための基準値または指針値が定められていれば,その値を採用しました。これがない場合には,水生生物保護のための水質基準値がホームページ等で公開されている米国,英国,ドイツ,カナダのうち2ヶ国以上で基準値が定められている物質については,その基準値の幾何平均値を採用することとしました。2ヶ国以上としたことと,幾何平均としたことは,各国によって基準設定の考え方が異なり,10倍以上異なる値が定められている物質もあったからです。 次に上記のようにして整理・集計した物質ごと,生物種ごとに決定した「毒性代表値」と「準毒性代表値」に対して,表5,6のような安全係数を用いて算出した値の最小値を水生生物保護のための水域管理参考濃度としました。 |
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農薬以外の化学物質については,藻類は増殖阻害をみており,環境省委員会(引用)のデータからEC50とEC0の比が10以下の物質が約3分の2あったことから安全係数を10としました。ミジンコ類については同様に短期不動試験でのEC50と繁殖試験のEC0との比が50以下の物質が約3分の2あったこと,魚類については,短期致死試験でのLC50と成魚,胚,仔魚,稚魚のフルライフ試験でのEC0との比が50以下の物質が約3分の2あったことから安全係数を50としました。また,データのない生物類に対する配慮は,データのある生物の毒性代表値の10分の1になりうるとして安全係数を10倍大きくしました。 なお,標準時間より短い試験時間での準毒性代表値については,藻類は変わらない値またはやや小さめの値となることから10のまま,ミジンコ類と魚類についてはやや大きめの値となることから,それぞれ安全係数を2倍にしました。 農薬については,主な用途と化学構造からa)有機リン系,カーバメート系および成長阻害作用を有する尿素系殺虫剤,b)除草剤,c)その他(a,b以外)の農薬に分け,それぞれについて藻類,ミジンコ類,魚類に対する毒性代表値を比較したところ,a)有機リン系,カーバメート系および成長阻害作用を有する尿素系殺虫剤は明らかにミジンコ類に対して毒性が高く,b)除草剤は明らかに藻類に対して毒性が高く,c)その他の農薬は特別な傾向がないことが分かりました。 このため,a)有機リン系,カーバメート系および成長阻害作用を有する尿素系殺虫剤でミジンコ類のデータがない場合には,藻類に対する毒性代表値に対しては,藻類とミジンコ類との平均的毒性代表値の差である2000倍,魚類に対する毒性代表値に対しては,魚類とミジンコ類との平均的な毒性代表値の差である200倍だけ安全係数を大きくし,その他は表5と同じ安全係数としました。 また,除草剤で藻類のデータがない場合には,ミジンコ類の毒性代表値に対してはミジンコ類および魚類と藻類との平均的毒性代表値の差である200倍だけ安全係数を大きくし,その他は表5と同じ安全係数としました。 なお,c)その他の農薬についてはすべて表5の農薬以外の化学物質と同じ安全係数としました。 |
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農薬以外の物質については,届出事業所からの大気または水域への毒性重み付け排出量を以下の式で計算しました。
ただし,毒性の強さについての情報がない物質については,毒性重み付け排出量が計算されていませんし,その値の大きい物質リストにも表示されませんので注意が必要です。 |
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届出事業所からの毒性重み付け排出量の提供情報 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
悪影響を与えやすい排出源の事業所(者)およびその事業所が所在する都道府県や市区町村が,市民・NGOとも協力して安全で安心できる環境をつくるという,PRTR制度の目的のために,以下のような情報を提供することにしました。
これらの(1)〜(6)の情報によって,全国的にみて,どの都道府県,あるいはどの物質が届出事業所から排出され,大気汚染や水質汚染による悪影響のリスクが高いか,熱心に取り組むべきかが分かります。
なお,毒性重み付け排出量の市区町村比較地図では,毒性重み付け排出量が全国で中位とみなせるところを黄色とし,その10分の1および10倍の幅で,白,緑,黄,赤,こげ茶の5色に分けて表示することにしました。具体的には,大気への毒性重み付け排出量は,100,000以上1,000,000未満を黄色,水域への人に対する毒性重み付け排出量は,1,000以上10,000未満を黄色,水域への水生生物に対する毒性重み付け排出量は,10,000〜100,000未満を黄色で表示し,黄色の10倍の地域を赤色,100倍の地域をこげ茶色,10分の1の地域を緑色,100分の1以下の地域を白色で表示しました。 これらの(7)〜(14)の情報によって,それぞれの都道府県内のどの市区町村で,どの物質が大気汚染や水質汚染による悪影響のリスクが高いか,熱心に取り組むべきかが分かります。 |
農薬の毒性重み付け使用量については,土壌中などで分解されなかったものは,降雨で水域に流失する場合が多いと考えて,を以下の式で計算しました。ただし,政令番号288のブロモメタン(臭化メチル)は大部分が倉庫業での検疫用くん蒸剤に使用され,一部が土壌くん蒸剤として使用されていますが,ほとんど大気へ放出されているので,除外しました。
ただし,毒性の強さについての情報がない農薬については,毒性重み付け農薬使用量が計算されていませんし,その値の大きい物質リストにも表示されませんので注意が必要です。 |
毒性重み付け農薬使用量の提供情報 | ||||||||||||
これらの(1),(2)の情報によって,全国的にみて,どの都道府県,あるいはどの農薬が水質汚染による悪影響のリスクが高いか,熱心に削減に取り組むべきかが分かります。 |
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